反董卓の章
第12話 「お姉様って…………呼んでいいですか?」
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ほら、やはり。
この方は、おそらく翠がくることも予想していたはずなのだ。
だからこそ、それも自身の策に組み込んでいたはず。
おそらくは、彼女をその代わりにと……
「翠がくれば、こんなことはしなくて済んだんだけどね……まあほんと、敵にならなかっただけよしとしよう。敵になっていたら、説得する手間が大変だと思っていたし」
……本当にこの方は。
どこまで色々考えておられるのでしょうか。
「むう〜……全部、お姉様が悪いんだよっ! なにが格好良くて、頭よくて、仁義溢れる父様似の素敵な人だよ。ぜんぜん違うじゃんか!」
馬岱は、再び私の胸に顔を埋めてグチグチと呟いている。
……まあいいのだがな。
おそらくは、泣いたことが恥ずかしくてしょうがないのだろう。
「よしよし……すまなかったな。ご主人様に変わって私が謝ろう」
「え? あ、いいえ! そんな、関羽さんに謝ってもらうことなんてなにもないですよ!?」
「主人の不始末は我々の不始末でもある故、そう気にしないでよい。そんなにむくれては、可愛い顔が台無しだぞ。ん?」
「か、かわっ……はわわわわ!」
真っ赤になって下を向く馬岱。
ふむ。
機嫌が治ってくれればいいのだが。
「……愛紗よ。私は知らないぞ」
「? なんのことだ、星」
星が額を抑えながら、わけのわからないことを言う。
はて?
「おまたせなのだー! 軽くて栄養のあるものを用意してもらった、の……だ? はにゃ? 愛紗、なんでその女の子と抱き合っているのだ?」
天幕に飛び込んできた鈴々が、汁物が入った椀を手に首を傾げている。
む……そういえば、慰めていたから抱きしめたままの状態だったな。
「いやなに……ちょっとな。もう立てるか、馬岱、よ……?」
馬岱の両腕を掴んで立たせようとすると、きゅっと私の服を掴む馬岱。
はて……先ほど泣いていたせいか、妙に顔が赤くて、瞳が濡れているが……
「あの、あのですね、関羽、様……」
「さま? あ、いや何かな?」
私はにこやかに微笑んで尋ねる。
何故か星が『あちゃー』と顔を手で覆っていた。
「お姉様って…………呼んでいいですか?」
「………………え”?」
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