反董卓の章
第12話 「お姉様って…………呼んでいいですか?」
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、たんぽぽは……たんぽぽは………………っ! 西涼のために! 皆のために……っ!」
「皆のために……民を守るために、苦渋の決断をした、と……?」
「………………っ……く……ひっく…………」
馬岱の顔はくしゃっと潰れ、その目からは大粒の涙が溢れだした。
「お姉様は……いやだいやだって、ずっと喚いてて……ひっく…………叔母様や韓遂おじさまは、どうしてもたんぽぽに行けって…………っ、じゃないと! じゃないと……みんなが……ひっく……みんながぁ!」
溢れだす涙を拭いもせず、馬岱は……小さな体を震わせて叫ぶ。
「たんぽぽは! みんなを死なせたくないんだもん! たんぽぽ一人のわがままで! 本当は助けたいよ! だけど……たんぽぽはもう、皆死んじゃうのやなの! 黄巾に殺された仲間たちみたいに、皆死んじゃうのは嫌なの! だから……だから……わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
そうして馬岱は……顔を覆ってその場に崩れ落ちる。
星や朱里たちが駆け寄ろうとして……ご主人様を見て、躊躇する。
そうか……この少女も、闘っていたんだ。
梁州での、私と同じように……
私は馬岱の前でしゃがみ込み、泣きじゃくる馬岱をそっと抱きしめる。
馬岱の体はビクッとなるが、すぐに力が抜けて私の胸で泣き始めた。
私はその頭をそっとなでてやる。
「……ひっく……助けてよ……ぐじゅっ…………恩人なんだよ…………ずずっ……でも、でも…………たんぽぽだけじゃ、勝てないんだもん…………みんなを、死なせたく……ないんだよぉ…………」
少女の泣き声が天幕内に響き渡る。
誰もが無言だった。
桃香様は口元を抑えて、嗚咽を我慢している。
朱里や雛里も泣きそうな顔でご主人様を見ていた。
星は歯噛みして……ご主人様を睨みつけている。
そしてご主人様は……その視線を受けて、目を閉じた。
「……ごめんな。試すようなことして悪かった。馬岱……このとおりだ」
そう言って頭を下げるご主人様。
「ひっく……ぐじゅ…………えっ?」
鼻を啜り、涙にいっぱいの瞳でご主人様を見る馬岱。
私は布巾を取り出して、たんぽぽの涙を拭いてやる。
「……まったく。確かに試すのは必要でしょうが……ここまで泣かせることはなかったでしょうに」
「ひっく……え?」
私の言葉に、今度は私を見る馬岱。
あーあー……涙と鼻水で顔がぼろぼろではないか。
本当にひどい人ですね、ご主人様は……
「ううう……思わずもらい泣きしちゃったよ。そうだよね……恩人だもんね……助けなきゃ、ダメだよね」
「まったく、幼女の次はこんな少女まで泣かせるとは……主は本当に悪い男ですな」
「いやあの……俺一応、病人なんです
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