反董卓の章
第12話 「お姉様って…………呼んでいいですか?」
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―― 趙雲 side 水関 ――
「趙将軍。柵の撤去、完了しました」
「ご苦労。各自、交代で休め。おそらく明日出発はないから、飲酒も許可する」
「は! 百人隊長たちに伝えます」
第三軍の千人隊長……元は第一軍で愛紗の訓練を受けていた者達である。
彼らは、私の指示を仰ぎながらも、十人の百人隊長たちを統率するという中間管理を担っている。
縦の支配構造を明確にした主の軍構造は、万単位の軍を細部まで統率することを可能にした。
今では、なぜ今までこうできなかったのか、と思ってしまうほどに、兵の制御に素晴らしい効果をもたらしている。
だが、主に言わせれば、これは主が考えたものではなく、主のいた天の世界では当たり前のように普及していることらしい。
『西の方……ローマでは、もう何百年も前からそうなっているんじゃないか?』
ろうま……羅馬のことらしい。
遥か西の大国のことまで知っているとは、博識なことだ。
この大陸では、武将一人に数千、時には数万の指揮をさせるのが通例だ。
都の正式な軍ならばともかく、刺史の私兵や我らのように都尉を追い出した状況では、正式な軍の役職を与えることが出来ない。
それゆえ、兵の制御が難しく、戦では乱暴・狼藉などを制御できないのだ。
どの諸侯もそうだ。
軍の組織自体が、形骸化していると言ってもいい。
だからこそ、主は梁州において独自の軍組織を作り上げた。
まず、指揮権限を百人単位にしたことで、それらの責任を負わせることが出来るようにした。
何かあれば百人隊長が責を負う。
それ故、百人隊長は自分の部下に対して律することを命令し、管理させる。
無論、一人で百人は完全には統率できないため、副官をつけることも許している。
百人隊長から優秀だと認められれば、将に推挙して百人隊長に任じられることもあるため、副官は必死だ。
その百人隊長も千人隊長に認められれば、千人隊長に。
千人隊長は将に認められれば、将として取り立てられる。
現在では、愛紗、鈴々、私、馬正が軍団長としているが、警邏隊の四方面軍の軍団長は、この千人隊長から選抜されている。
だからこそ、皆次の将は自分だと、千人隊長それぞれの士気が高い。
(主は軍の統制に慣れておられる)
主が梁州に帰還して以降、軍の強化は一年前とは比べ物にならないほどだ。
正直、兵の統率は大陸一であるとも私は考えている。
(とはいえ、ちと堅苦しいのも事実ではあるな)
愛紗や馬正あたりは、兵の手本になるとばかりに自身を律しようとしている。
元々堅物の愛紗などは、まさしくガチガチに第一軍を統率している。
第二軍の鈴々は、
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