第119話
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それなら、適当に手伝って終わればいい。)
そう思いつつ、適当に歩いていくのだった。
「ああ、こっちは収穫なしだ。」
携帯を片手に麻生はそう言う。
電話の相手は上条だ。
財布を盗った女の子を見かけたかを、聞くために麻生に電話したのだ。
「恭介の方でも駄目か。」
「二手に分かれて見つからなかったんだ。
もう諦めろ。」
「俺はもう少し探してみる。」
「そうか、まぁ好きにしろ。
俺は部屋に戻っているからな。」
「もし見つかったら連絡する。」
「いや、しなくていいから。」
そう言って通話を切る。
欠伸をしながら、麻生は来た道を戻ろうとする。
だが。
「離して!!」
「うん?」
ふと、そんな声が聞こえた。
声のする方に視線を向けると、その先には路地裏から聞こえていた。
少し興味が湧いたのか、その路地裏に近づいていく。
そこでは、屈強そうな男が四人が少女を囲んでいた。
少女は壁を背にしているので、逃げる事ができないようだ。
(てか、あの子は当麻の財布を盗んだ子供じゃないか。)
よく見ると、その子の手には上条の財布が握られている。
男四人は、刺青やピアスなどをしており、見るからにガラが悪い。
「離して!」
「その財布を俺達に渡すって言うのなら、離してやってもいいぞ。」
男の一人が、少女の腕を掴みながら、そう言う。
腕の太さは少女の三倍はあるだろう。
振り払う事もできないようだ。
(まぁ、俺には関係ない。
帰って寝るとするか。)
興味をなくしたのか、その場から離れようとした時だった。
「絶対に嫌だ!
これを渡したら、お母さんの病気の治療費が無くなっちゃう!」
その言葉を聞いて、麻生の足は止まる。
そして、もう一度振り返る。
「下手な嘘だな。
そんな嘘で、俺達をだまさせると思っているのか?」
男達は全く信じていない。
確かに、言葉だけを聞いたら嘘を言って、言い逃れをしようとしているように見える。
しかし、麻生の眼にはそう見えなかった。
少女の眼は嘘を言っているように見えなかったのだ。
(ちっ・・・・本当に甘くなったな、俺は。)
大きくため息を吐くと、麻生は路地裏に入って行く。
「おい、お前ら。」
「ああん?」
イタリア語で麻生は、その男達に話しかける。
少女を含めた全員が、麻生の方に視線を向ける。
「何だ、てめぇは?」
「通りすがりのただの一般人Aだ。」
「一般人だぁ?
さっさと消えやがれ。」
「そうもいかない。
その財布には見覚えがあってな、黙って見過ごす訳にはいかない。」
「何だテメ
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