閑話3 〜追憶の日々 -again【暁 Ver】
[10/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
マスも近いですし」
「クリスマスって……クリスマスカラーは確かに赤だけど」
最後のはちょっと苦しいけど。まぁ、考え方はそれぞれだ。そんな事を指摘したところで何の意味もない。あたしは空気が読めるのだ。そんな時、あたし達の会話を遮るように大皿がテーブルへと置かれる。大皿に乗せられているのは、巨大な玉子焼き。
「大きすぎでしょう……」
「……たんとおたべ」
「いただきますっ」
「わぁ」
三者三様の反応を見せながら、巨大なダシマキはあたし達の胃袋へと献上された。主にスバルの。とても美味しかった事と、アスナのどうだと言わんばかりの顔が少々腹が立ったので、マシュマロのような頬を引っ張ってやったことを追記しておこう。
女のあたしが言うのもなんだが、女が集まれば姦しいことこの上ない。それはあたし達も例外ではなかった。若干一名が殆ど話さなかったとしてもだ。
「へ? 桐生さん、謹慎中なんですか」
「……ゲヌイトのおっちゃんに、いじめられてる」
「どっちっかって言うと、苛めてるのはアスナだよね」
「ゲヌイト教官はちょっと苦手で……。ボクと話すと睨むんです。嫌われてるんでしょうか」
「考えすぎよ。あれは普通に見てるだけ。睨んでるわけじゃないわ」
こんな感じだ。話を聞く限り、彼女は入学試験よりも難易度の高い編入試験をクリアした才女のようだ。家族が多いので、家計を助ける為という理由も好感を持った。何よりアスナから話しかけたという理由からして、おかしな人間ではないだろう。
これは、ガス抜きなのだ。そう、ガス抜き。こんな山の中の訓練校で、泥と汗にまみれながら訓練に明け暮れていれば、誰だってストレスが堪る。交流戦にしても、ガス抜きの意味合いがあるんだろう。それはきっと必要なことだ。好きな食べ物、好きな男性のタイプ、好きなTV番組、好きな音楽。将来の夢──── 希望。『普通』な女の子のように、そんな他愛のない話に花を咲かせながら、いつもとは少しだけ違う夜が更けていった。
その日。交流戦当日の小雪がちらつく屋外訓練場にて、ティアナ・ランスターの目に飛び込んできた光景は、少なからず彼女に動揺を与えるには十分だった。
自分達が出られないことは十分理解していた彼女ではあったが、代わりに選抜されたメンバーは未熟な彼女から見ても理解し難いメンバーだった。それどころか、見たことも聞いたこともない生徒だ──── まるで相手に勝って下さいと言わんばかりの。そこまで考えたところで、彼女は渋面を作った。
──── そう言うことか
ティアナは教官達が座っている席を睨み付ける。その隣の来賓席には如何にもな人間が尊大な態度で座っていた。恐
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ