閑話3 〜追憶の日々 -again【暁 Ver】
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な青い肉まんはなにかね。いいからしまいなさい」
教官もあたし達同様にアスナの担当となってから半年ほど経つが、見ての通りアスナにペースを狂わされてばかりだった。アスナと関わる人間が通る道だが、教官はどうしうてもその道を歩きたくないらしい。
「……七個かってきた。八個あつまると、がったいする」
「君が何を言っているのか、さっぱりわからん」
あたしだって、わからない。
「今回は私だったから良かったものの……私以外だったら確実に問題になっていたぞ。謹慎中に寮を抜け出して、コンビニエンスストアへ行くなど前代未聞だ」
「……これ、まんなかから割るとグロいな」
「話を聞きなさい。……今回は不問とする。退出したまえ」
流石の教官も何かを色々と諦めたらしい。あたしとスバルの気持ちがわかったか。
「……ありがとう、おっちゃん」
「……私はまだ、おっちゃんと呼ばれる歳ではない。それに『ヨハン・ゲヌイト』と言う名がある」
不味い、スバルが限界だ。
「……ありがとう、ゲヌイトのおっちゃん」
スバルが堪えきれずに吹き出し、教官があたし達を睨みつけた。とばっちりだ。
「早く行きたまえ」
「あ〜、出たかったなぁ。『交流戦』」
スバルがアスナのベッドを占領しつつ、そんな事を呟いた。スバルが言った『交流戦』とは数年前から行われている年末行事だ。普段殆ど生徒同士の交流のない士官学校の生徒達と模擬戦を通じて交流を図り、お互いの技術の向上と親睦を深めようというのが目的なのだが。実際は少々事情が違ってくる。
『空士』は将来を嘱望されたエリートだ。『リンカーコア』を持っていないというだけで、見下す人間が少なからずいるように。彼らの中にもあたし達、陸士を見下す人間が多くいる。……仕方ないのかも知れない。空を飛べるという優位性だけではなく、長時間の飛行が可能だということは、長時間に渡って飛行魔法を維持するだけのセンスと魔力があるということに他ならない。それは必然的に魔力の絶対量が多い。ということだ。
『空戦魔導師』は謂わば、魔導師の花形だ。あたしが目指している、執務官の資格条件にも『空戦適正がある事』が明記されていたぐらいだ(もっとも、これは随分前に撤廃されている)。
そんな連中との交流が一筋縄でいく筈もなく。両者の溝は深まる一方だった。こちら側が負け越しているという理由も勿論、大きい。そんな時、教官から声が掛かったのだ。
──── 今年の交流戦は、君達三人が代表だ。
純粋に嬉しくはあったが、最初は何か裏があるのではないか勘ぐったものだ。あたし達は──── 切り札。高い戦闘力と突破力を誇る二人に加え、
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