閑話3 〜追憶の日々 -again【暁 Ver】
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ちゃうんです」
何か思うことがあるのか、この場にいる幾人かは神妙な顔をして俯いている。あたしもきっと──── 同じような顔をしているはずだ。考えてみれば、エリオやキャロがどういった経緯で六課に来たのか詳しく知らない。その過去も。それはきっと軽々しく聞いてはいけないんだろうと思う。少なくとも彼女達が笑いながら話してくれるようになるまでは。一度だけ、お兄さんに聞いたことがあった。
「別におもしろい話など、ありませんよ。私もアスナも平凡な家庭で、ごく普通に生きていました。それがある日事故に巻き込まれて、気がついたらここにいた。それだけの話です」
嘘だ。と感じた。なぜそう思ったのかは、わからない。その時のあたしは、それが真実なのか問いただすことが出来なかった。その覚悟があたしにはまだ、ない。
「辞めさせられなかっただけ、マシでしょ」
「それは、そうだけど……」
あたしは、まだ納得出来ない樣子のスバルを伴いながら廊下を歩いていた。向かっているのは勿論、アスナの部屋だ。原因は向こうにあるとは言え、怪我をさせてしまったのは事実。今までも小競り合いはあったが、昨日のは酷かった。本来なら退学処分は必至な
「どうしたの、ティア? トイレ?」
突然立ち止まったあたしを、訝しげにスバルが見ている。それはどうでもいい。今はアスナのことだ。過去には首を傾げたくなる理由で、退学処分になった生徒もいた。考えられる理由は幾つかある。その中で一番可能性が高く、管理局らしい理由。
アスナには『リンカーコア』がない。にも拘わらず魔力を持っている。アスナの体質上、体外への魔力放出が出来ないという欠点はあるものの『ある』事には間違いない。そして二つのレアスキル。『完全魔法無効化能力』と『魔力素固定化能力』だ。怪我を負ったあの生徒よりもアスナの方が『利用価値がある』と判断されたのだとしたら……
「……ふざけるな」
「えっ、ごめんなさい?」
あたしはちらりとスバルを見やる。憶測に過ぎないけれど、この娘にも話しておこう。あたしの話を黙って聞いていたスバルが、やりきれない表情を浮かべている。この娘だって知っているのだ。管理局が決して一枚岩ではないことを。あたし達は頷き合い歩を進める。
「教官も……そうなのかな……」
「わからないわ。何を考えてるか、よくわからないし。……今のところ味方でもないし敵でもない。ってとこかしら」
「ところで、『Fixed Mana』のマナってどんな意味か知ってる? 調べたけど、該当する単語がなかったんだよね」
「あぁ、あたしも聞き慣れない言葉だ
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