閑話3 〜追憶の日々 -again【暁 Ver】
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ろうか」
あたし達が隊舎の玄関へ近づいていくと何やら騒がしい。訝しく思いながら玄関を覗き込むようにして見ると、そこにいたのは。
「うわぁ……」
スバルが絶句してしまうのも無理はない。アスナがザフィーラとの散歩から帰ってきたらしいが……泥だらけなのだ。二人とも。
「アスナちゃん、何したらそんなことになるんや。ザフィーラまで」
「……ざっふぃーが、泥であそびたいっていったから」
「嘘をつくな」
「もう、何でもええから二人ともシャワーや。そのまま隊舎に入ったらあかんで」
「……ざっふぃーのせいでおこられた」
「まだ言うか」
膨れっ面のアスナと、悟りを開いた仙人のような目をしたザフィーラ。誰からともなく笑いだし、あたし達に気がついたアスナの頬が益々膨らんでいく。
アスナは確かに変わった。それもいい方向に。本人は変わっていないと思っているかも知れないが。まだまだ、危うい部分があるけれど、今はまだそれで良いと思う。あたし達はまだ途中なのだから。答えを出すのはまだ早い。
あの頃のアスナしか知らない人間が見たら驚く筈だ。そのアスナを変えた切っ掛けが──── アスナを『サンタ』だと言った一人の少女だとは夢にも思わないだろう──── あたし達の知っているサンタはプレゼントを持ってくるだけじゃなくて。願い事まで叶えてくれる太っ腹なサンタなのだから、きっと。
〜追憶の日々 -again 了
「ティアナ? ティアナ宛てにプレゼントが届いてるよ」
「あたし宛、ですか」
あたし宛に荷物を送る家族などいないし、親類もいない。況やあたしのファンなどという酔狂な人間もいないだろう。
「『John』さんから。心当たりある?」
なのはさんに問われ記憶を探ってみるが、該当する人間はいない。
「検査はしっかりしてあるから危険物ではないと思うけど」
なのはさんから荷物を受け取る。本当に『John』としか書かれていない。ジョンなんてありふれた名前だから偽名だとは思うけど。あたしがこの名前の意味を知ることになるのは、もう少し後のことになる。
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