閑話3 〜追憶の日々 -again【暁 Ver】
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」
「……だから?」
アスナは一歩近づく。
「ぼ、ぼぼ僕が怪我でもしたら、た、唯じゃ済まないぞっ」
「……それで?」
アスナは一歩近づく。
「お、おまえなんか退学にさせてやるっ」
「……さようなら」
アスナはかき消えるように男へと踏み込むと、左のジャブで額を打ち抜く。そして──── 反動で浮き上がった男の顎へと閃光のような右を振り抜いた。
「痛たたたたたた」
スバルが然も痛そうに自分の顎をさすっている。顎が砕けてるわね、あれ。『川蝉』だっけ、確か。それにしても……あのクラスの砲撃をノーダメージで防ぐなんて、結界に特化してるのかしらね、彼女。
「ふむ。あれは足場を固めるだけではないのか……興味深いな。そして、実に愉快だ」
「……そうか。魔力素固定化能力。あんな使い方も出来るのね」
彼女に近づいた時に周りを固めたんだ。固めた魔力素なんて、どうやって破壊できるのよ。
「でも、ちょっと厄介ごとになりそうだよね」
スバルの言うことも尤もだった。
「心配はいらん。試合中の会話は全て記録済みだ。大事にして困るのは……向こうだ。こちらへ流れた金も把握してある。これを機にウチの膿も出したいのだがな。ここで信頼できるのは、コラード校長だけだと言うのも情けない話だ」
そう言って教官は幽鬼のような目で再度、教官達を睨み付けた。
「まぁ、それは今度でよかろう。弱みを握ってしまえばどうとでもなる。いや、実に愉快だ」
意外とえげつないな、この人。
「全て計算尽ですか」
「桐生候補生は予想外だ。まさか、他人の為に出てくるとは思わなかった。……君たちの御陰かも知れんな」
「あたし達は別に……なにもしていません」
彼女を背負いながら、アスナがすたすたと歩いてくる。アスナの腕で揺れている真っ赤なリボンを見ながら、彼女の言った事を思い出していた。
──── アスナさんにも話したんですけど……勇気や希望や夢を与えてくれる人が、その人にとってサンタさんなんだと思います。それが例え、赤の他人でも。
「サンタ、ね」
じゃ、あたしにとってのサンタは誰なのかしらね。強いて上げるとしたら……こいつらか。恥ずかしいから言わないけれど。
一日と欠かしたことのない兄との連絡。いつも私の心配ばかりしている兄だが、今日は違った。今日の交流戦のことを話すと、とても嬉しそうにこう言ってくれた。
──── とても良いことをしましたね
そうか、誰かを助けることはいいことなのか。一度授業中にスバルに怒られたことがある。なぜ、
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