閑話3 〜追憶の日々 -again【暁 Ver】
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ろうよ」
そんな会話をしていた空士の一人がアスナへと近づいていく。
「もう勝ち目なんかないんだからさ。終わらせて遊ぼうぜ」
アスナは無言で手を伸ばし──── 男の後頭部に手を回した。
「お」
そして、万力のような力で後頭部を掴むと、そのまま力任せに顔面から地面へと叩きつけた。一瞬だけ怯りと痙攣すると、地面を抱きしめているかのように動かなくなる。
それを呆然とみていた男の一人の怒声が合図となった──── そう。戦いとすら呼べない一方的な虐めが始まったのだ。距離を取った一人が魔力を練り上げる。間、髪容れずに魔力弾を生成するとアスナへと射出した。アスナは全く回避するそぶりを見せず、自身へ迫り来る魔力弾に──── 先ほど叩き伏せた男を投げつけた。
躊躇なく戦闘不能になった人間を盾にしたアスナに一瞬だけ思考が停止する。そんな隙を見逃すはずもなく。アスナは直ぐさまバリアジャケットを展開すると、空を駆ける。瞬く間に相手の懐へ飛び込むと同時に相手の鳩尾へ肘を叩き込んだ。
歓声と悲鳴が同時に上がる──── 誰が見ても回避不可能と思われる砲撃が背後に迫っていた。砲撃をした男は悪態と罵声をアスナへ浴びせながら勝利を確信する。砲撃が直撃し、堕ちていく男。
砲撃を撃った男は混乱していた。仲間を助けようと撃った砲撃がその仲間に直撃した。自分は確かに女を狙ったはずなのに。後ろへと振り返ると……アスナはそこにいた。ゆっくりと顔を上げ、ゴーグルのスコープが怪しく光るのと同時に唇が三日月を作る。何かに魅入られたように動きを止めた男へ鉞のような右回し蹴りを叩き込み、男は為す術もなく地上へと墜ちていった。
「……ボブ、急に動かすな」
『そうは言ってもね。現に気がついてなかったじゃないか』
「……自動制御禁止」
『なら、油断しないことだよ』
最後の男は人目も憚らずに悪態をついていた。男はちらりと後ろへ視線を走らせる。空を駆けていた。『翔ぶ』のではなく『駆けて』いた。半ばやけくそのように魔力弾を撃ってみるものの、唯の一度もアスナの身に届くことはなかった。なら、せめて。そう、もう一人いる。男は、アスナに言われた通り戦況を見守っていた彼女の前に降り立つと渾身の魔力を込め──── 砲撃を撃った。なんの抵抗もなく魔力の奔流へと巻き込まれた彼女を見て男は高笑いを上げる。だが。男の目の前には傷一つない少女が、変わらず立っていた。
「ぅ、嘘だろ」
男は驚愕のあまり一歩、二歩と後ずさりすると、誰かにぶつかった。ぶつかる相手など一人しかいない。男は慌てて距離を取る。
「ま、待て。今ので魔力切れだ。あ、あそこにいるのは僕の父親だっ
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