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空を駆ける姫御子
閑話3 〜追憶の日々 -again【暁 Ver】
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ったとしても。一人の人間がそれを檸檬だと信じていれば、紛れもなく()()にとっては、それが『真実』。管理局員としては不適切な考えだと自分でも思うが、そこに犯罪や誰かが困るような事態にならない限り、サンタクロースを信じていたっておかしな話じゃないと思う。





「そうだね。サンタが実在するかしないかじゃなくて、大事なのはその人にとってサンタは誰なのか? ってことだから」

 なのはさんが、ジンジャーエールの入ったグラスを持ちながら話す。前回のメンバーになのはさんを加え、場所をあたしの部屋へと移した。以前、なのはさんから訓練校時代の話を聞きたいと言われ、今回のお茶会となったのだ。但し、アスナはいない。現在、アスナはザフィーラと散歩中。アスナはザフィーラが八神部隊長の『守護騎士』(ザフィーラは正確には守護獣と呼ぶらしいが)の一人だと知っても、以前と扱いが全く変わらない。今更だが、凄い娘だと思う。

「あまりクリスマスとも、サンタとも関係ないかも知れないんですが。どこから話しましょうか……」





「謹慎、ですか」

「そんなっ」

 教官に食ってかかろうとするスバルを制す。

「今回は庇いきれなかった。すまない」

「期間は?」

「一週間だ。その間は全ての座学及び戦技訓練への参加は不可。自室からの外出も禁ずる。食事は君達が運んでやるといい。本人へは既に通達済みだ。以上、退出したまえ」

 納得出来ない態度を隠そうともしないスバルを引き連れ退出する。重々しい音を立てながら扉が閉まると同時に、あたしの口から溜息が零れ落ちた。

 あたしとスバルがアスナと出会ってから半年ほど経っていた。アスナへの風当たりも、あの一件以来少しずつ影を潜め、無口ではあるが楽しかったり嬉しかったりすると、あたし達と同じようにほんの少しではあるが、微笑んだりする事があるという事実を知ると、徐々に彼女の周りに人が集まってくるようになった。だが、アスナを親の敵の如く嫌う人間も多くいた。そんな人間の大半は出来の悪い硝子細工のような、ちっぽけなプライドを粉々にされた者ばかりだった。こと戦闘になると鬼神のような戦いを見せるアスナに誰一人、勝てはしなかったのだから。

 事の起こりは昨日のことだ。あたし達が食事をしていると、数人の生徒が傍の席へと就いた。あたし達の近くに席を陣取ったのも故意だったのだろう。やがて神経を逆撫でするような不快な笑い声を上げながら食事をし始めたのだ。あたしが変なのかも知れないが、同年代の男性は酷く子供に見える。これ自体は問題はない。我慢すればいいだけの話だ。だが、次がいけなかった。

 実の所、彼らの会話の内容は良く憶えていない。ただ、彼らはどこからか聞きつけたのか、アスナとお兄さんの関係を
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