暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
月に吠える
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
だけど殺しはしないよ・・・邪魔な『奴等』を排除してくれた事には感謝してるんだ。島から出してやろう。かりそめの自由を堪能してくるがいい」
「ジェ・・・ラール・・・」

エルザの目に涙が浮かぶ。

「解ってると思うけど、この事は誰にも言うな。楽園の塔の存在が政府に知られると、せっかくの計画が台無しだ」

この楽園の塔の建設は、政府も評議会も非公認だ。
建設しているという事が知られれば、塔の建設は不可能になるだろう。

「バレた暁には、俺は証拠隠滅の為、この塔及びここにいる全員を消せねばならん。お前がここに近づくのも禁止だ。目撃情報があった時点でまず1人殺す」

そこまで言い、ジェラールは笑みを崩さず、仲間である少年の名を口にした。

「そうだな。まずはショウ辺りを殺す」

ボロボロと。
エルザの目から大粒の涙が零れ落ちる。

「ジェラ・・・ル」

そしてジェラールは、叫んだ。
歪みきった笑みを浮かべ、歪んだように目を見開き。

「それがお前の自由だ!仲間の命を背負って生きろエルザァァァァーーーーー!あはははは!」












ザザァ・・・ザァァ・・・と。
何も聞こえない空間に、ただ波の音だけが響く。
ゆっくりと目を覚まし、自分が今、どこにいるかを確認する為にキョロキョロと辺りを見回す。

「・・・」

声を発さず立ち上がり、体中を蝕む痛みに、ドサッと倒れ込む。
砂浜に、ポタポタと水滴が落ちる。
溢れ出る悔しさを堪えるかのように、砂浜の上で左手を握りしめた。
悔しくて、悔しくて、歯を食いしばって―――――――



「うあああああああああああ・・・!!!!」



黄金に光り輝き、美しい光で自分を照らす満月を見上げ、泣き叫んだ。
今まで溜めこんで来たものを、全て吐き出すかのように。
何も出来なかった事を、全てを後悔するように。













それを聞いたルーシィは、言葉が出なかった。
ルーの目にはうっすらと涙が浮かび、グレイは何も言わずエルザを見つめ、ジュビアは泣くのを堪えるかのように両手で口を押さえ、アルカは真剣な顔で視線を落としている。

「私は・・・」

エルザは体を震わせ、必死に言葉を紡ぐ。

「ジェラールと戦うんだ・・・」

――――――その左目から、涙を流して。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ