月に吠える
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を浮かべたジェラールは更に両手を横薙ぎに振る。
「あぷああ!」
「ぐぽえが!」
懲罰房が赤く染まっていく。
耐えられなくなったエルザは必死に叫んだ。
「やめて!ジェラール!」
「やめる?こいつ等が憎くないの?エルザ」
「に・・・憎いけど、そんな・・・」
「ダメだ。そんな事ではゼレフを感じる事は出来ない」
そう呟き、必死で逃げる信者に手を向ける。
逃げる先で小規模の爆発が起こり、信者は爆風に見えなくなった。
「うっ」
「あははははっ!」
エルザは思わず目を閉じて顔を背け、ジェラールは笑う。
「ジェラール・・・しっかりしてよ・・・きっと何日も拷問を受けてたせいで」
「俺は正常だよ」
エルザの言葉にそう答え、ジェラールはエルザの方を向く。
「エルザ・・・一緒にRシステム・・・いや、楽園の塔を完成させよう。そしてゼレフを蘇らすんだ」
楽園の塔。
今まで信者達はこの塔を『Rシステム』とだけ呼んできた。
もしかしたらこの名称は、ジェラールがつけたものなのかもしれない。
「バカな事言ってないで!私達はこの島を出るのよ!」
命をかけて勝ちとった自由。
それを逃すなどエルザには考えられない。
シモン、ロブ、他の奴隷達・・・多くの人が傷つき、犠牲になりながらも手に入れた自由。
この塔に残るなどあり得ないのだ。
・・・が、それを聞いたジェラールはピク、と眉を動かした。
「きゃああっ!」
その瞬間、ジェラールの手から放たれた魔法弾によって、エルザは吹き飛ばされた。
「う、あう!」
地面をバウンドし、ドサッと落ちる。
「いいよ」
「!」
「そんなに出ていきたければ、1人でこの島を離れるといい」
「1人?」
ジェラールの言葉に、信じられないものを見るような目でエルザが呟く。
「他の奴等は全員俺が貰う。楽園の塔の建設には人手が必要だからな。心配しなくていい、俺は奴等とは違う。皆に服を与え、食事を与え、休みを与える。恐怖と力での支配は、作業効率が悪すぎるからな」
「何を言ってるの?皆はもう船の上!私達を待ってるのよ。今更こんな場所に戻って働こうとなんてするハズない!」
「それは働く意味を与えなかった『奴等』のミスだ。俺は意味を与える。『ゼレフ』という偉大な魔導士の為に働けとな」
「ジェラール・・・お願い・・・目を覚まして」
エルザが必死に呟く。
が、その願いは誰にも届かなかった。
「あう!」
ジェラールが右親指と人差し指で何かを掴むような仕草をする。
すると、近くの岩から腕が伸びてきて、エルザの首を絞めた。
「く・・・苦しい・・・」
必死に腕を外そうとするが、ビクともしない。
「お前はもういらない。
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