キラーパンサーに転生
19終わりと始まり
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イカダから降りて、ドーラちゃんとヘンリーくんと一緒に遺跡の入り口に戻って。
今まで感じたことのない、強くて気持ちの悪い気配に、思わず立ちすくみます。
……雪の女王さまも、かなり強いと思ったけど。
そんなレベルじゃない、戦って勝てるなんてそんな気が全然しない、あたし一人ならとっくに逃げ出してる、次元が違う強さとまがまがしさを感じさせる、そんな気配。
あたしたちを順番に見渡して、最後にドーラちゃんに視線を戻したソイツはなにかを言ってたけど、あたしはそんなの全然聞いてる場合じゃなくて。
ケモノの衝動に負けないようにその場に踏ん張って、ただ逃げ出さないようにしてるだけで精一杯だった。
そうやって必死に踏み留まって敵をにらみつけるあたしの耳に、ドーラちゃんの声が聞こえてきて。
「……ヘンリー!!下がって!!」
あたしにはなにも言わずに、ドーラちゃんが武器を構えて敵に向かう後ろ姿が目に入って。
……あたしは、ドーラちゃんを助けてあげるんだから!
ちょっと強い敵が出てきたからって、怯えて、固まってる場合じゃない!
ドーラちゃんをひとりぼっちで戦わせるなんて、あたしは、そんなのはいやだ!!
金縛りにあったみたいに動かなかった体が急に動くようになって、あたしも敵に向かって駆け出します。
敵はゆっくりと持ち上げた手から火の玉を放ってきて、あたしは出遅れたぶんだけ反応が遅れて。
「くっ!」
「キャンッ」
「ひっ」
ドーラちゃんはなんとか避けられたみたいだけど、あたしは避けきれずに火の玉がお腹をかすって。
後ろのヘンリーくんも悲鳴をあげてたけど、当たってたらあんな程度ではすまないだろうし、後ろのことまで気にしてる余裕はあたしにはない。
焼けつく痛みをこらえながら、そのまま敵に向かって鉄の爪を振るいます。
先に向かってたドーラちゃんに追いついて、二人で同時に攻撃をしかけるような形になったけど、敵は避けようともしないで軽く腕を振って、ドーラちゃんとあたしをまとめて吹き飛ばして。
あたしはなんとか着地したけど、視界の端でドーラちゃんが転んでるのが見えます。
……今、あんな状態で、ドーラちゃんが攻撃されたら。
ドーラちゃんが、死んじゃうかもしれない。
殺されはしなくても、時間をかせがないといけないって言ってたのに。
一番強くて、回復ができるドーラちゃんが、最初にやられちゃったら。
時間をかせげなくて、パパさんがくる前にドーラちゃんたちはさらわれて、ドーラちゃんの予定通りにいかなくて、サンチョさんが、村のみんなが。
「モモ!ダメ!戻って!」
あたしは、ドーラちゃんを助けてあげるんだから。
そのためなら、あたしの命なんて
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