第五話 交錯〜終焉〜
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男女は笑います。
まるで、何年も昔からそうしてきたように。
三人は兄妹でした。
とてもとても仲の良い幸せな…幸せだった、兄妹でした。
ある夏の事。ありふれた八月の一日の事でした。
三人は交通事故に合いました。
トラックに引き潰され、引っ張られ、引きづられ…
そこでオシマイでした。そのはずだったのです。
ですが、余りに突然の事故に彼女らは自分が死んだと認知することができませんでした。
そして、ここは『道』
眠れぬ亡者の落ちる、最悪にして永遠の地獄………だそうですよ?
この道は、死んだ者の記憶に応じ、姿を変えます。
三人の目に最後に焼き付いた記憶。
それがこの道になったのでしょう。
この道を抜け出す術は、一つだけ。
ー生前の記憶を取り戻すことー
しかし、ここに来る者達は大抵が自分の死を認知できなかった者ばかり。
そんな彼らが生前の記憶を取り戻すことは、正にゼロに等しい事でした。
ですが、そんな彼らの物語は、そろそろ終焉を迎えます。
「とりあえず、さ…」
少女は笑います。
あの時の様に。
「アイスクリームでも食べにいかない?兄さん、智樹。」
パチンッ
道にあった人影は消え去り。
後にはただただ広がる空と太陽があるばかり。
(これは一つの奇跡。だって、この道から抜け出せた者は誰一人としていなかったのですから、ね。)
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