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ドラクエX・ドーラちゃんの外伝
キラーパンサーに転生
18続・ベビーパンサーは見ていた
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ど。私はもう十分考えたし、諦めたわけじゃ無い。今は、どうにも出来ないだけ」

 ヘンリーくんが言ってるのはドーラちゃんのことじゃなくて、自分のことだったって。
 ドーラちゃんのお返事を聞いてわかったから、このときはあたしはしゃべれなくてよかったのかもしれない。

「今は……?」
「それも、後で説明するから」

 ドーラちゃんはヘンリーくんがなにを考えてそんなことを言ってるのか、あたしなんかよりもきっとよくわかってるけど。
 だから、あたしはしゃべれなくて、口を出せなくて今はよかったのかもしれないけど。
 でも、もうそろそろ、本当にやめてほしい。
 ヘンリーくんもつらいかもしれないけど、今、一番つらいのは、絶対にドーラちゃんなんだから。
 そんなグチみたいなことを、今のドーラちゃんに、いつまでも聞かせないでほしい。

「今は、私を信じて」

 そう、ドーラちゃんを、信じて……。

 ……ドーラちゃん。
 ドーラちゃんって、確かヘンリーくんと、結婚したくないんだよね……?
 なんでこう、ところどころでそういうこと言うのかな……?

 うん、全然そんなつもりはないって、わかってるけど。
 ヘンリーくんも、別に言われた意味を勘違いなんて、してないと思うけど。

 でもこんなに弱ってる感じのヘンリーくんに、信じてついてこいみたいな……。
 それもなんだかちょっと、プロポーズみたいだと思うの……。

「……わかったよ。悪かった」

 ほら、さっきまであんなに弱ってたヘンリーくんが。
 なんだかちょっと持ち直して、落ち着いてるし。

 女の子にイカダを漕がせてるのに気が付いて、カイに手を伸ばしてきてるし。

「……代わるよ」
「レベル1でしょ?無理しなくていいよ」
「……」

 ……ドーラちゃん!
 確かにどう考えても、ドーラちゃんのほうが力も強いと思うけど!
 たぶんドーラちゃんのことを好きな男の子に、それはちょっと……!

 ……うん、仕方ないよね。
 命がかかってるんだもんね、そんなこと気にしてる場合じゃないよね。
 それにドーラちゃんはヘンリーくんと結婚したくないんだから、意識してる部分でなら、むしろこっちのほうが自然だよね。


 他にもヘンリーくんのことを戦力としては全く当てにしてないようなことをドーラちゃんがあっさり言うのを、ヘンリーくんはまたあっさり聞き入れるので、さっきまで引っかきたくてたまらなかったはずのヘンリーくんに、あたしはついつい同情してしまって。

 ……自分より明らかに強い女の子から、イカダのカイを引き取ろうとする男の子が。
 好きな女の子に守られるような感じになっちゃって、平気そうにしてたって、平気なわけないよね……。

 ……大丈夫!
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