第3話 決闘
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
てしまう。
「痛いに決まってるじゃないの! 当たり前じゃない、なに考えてるのよ!」
そう言うルイズの目から、今度こそ涙がこぼれた。
「あんたはわたしの使い魔なんだから、これ以上、勝手な真似は許さないんだからね」
そうルイズが言い終わるのと同時に、俺たちの様子を見ていたギーシュの声が飛んできた。
「終わりかい?」
「……ちょっと待ってろ。休憩だ」
「サイト!」
「そうかい……なら……」
ギーシュが薔薇の花を振り、ゴーレムが現れた時のように花びらが俺の目の前に一枚落ちる。そしてそこから、一本の剣が現れた。
「これ以上続ける気があるなら、その剣を取りたまえ。その気がないなら、僕に向ってこう言うんだ『ごめんなさい』、とね」
「……誰が言うかよ、そんなこと」
俺は目の前にある剣にそろそろと右手を伸ばす。折れているから力が入らないけど、もはや左手も同じようなものだ。なら利き腕を使った方が良い。
しかし、その右手を、ルイズによって止められる。
「ダメ! 絶対にダメなんだから! それを握ったら、ギーシュは容赦しないわ!」
「……俺は元の世界には帰れねえ。ここで暮らすしかないんだろ」
独り言のような声の大きさでルイズに言う。
「そうよ! それがどうしたの! 今は関係ないじゃない!」
……分かってない。ルイズは分かってない。
「使い魔でもいい。寝るのは床でもいい。メシは不味くたっていい。下着だって、洗ってやるよ。生きるためだ。しょうがねえ……でも――」
「でも、何よ……」
「――下げたくねえ頭は、下げられねえ!」
ルイズの手が邪魔なので、左手で最後の気力を振り絞り、剣を握った。
その瞬間、俺の左手に刻まれたルーン文字が光りだした。
(なんだ……!?)
俺は剣を握った後、驚きが隠せなかった。
剣を握った瞬間、体の痛みが消えたからだ。
それに左手のルーンが光っていることも気になる。
けれども、それらの事をあまり気にしても始まらないので、そのまま剣を抜いて持ち上げた。
――体が羽のように軽い。まるで空でも飛べそうだ。しかも、剣がまるで自分の体の延長のようにしっくりと馴染んでくる。
不思議だ。剣なんか握ったこともないのに。
「まずは、褒めよう。ここまでメイジに楯突く平民がいることに、素直に感激だよ」
そして、手に持った薔薇を振った。……どうやら、あれが魔法の杖らしい。
そんな事を考えられることに驚いている間に、あることに俺は直感する。
――負ける気がしない。
そう、負ける気がしないのだ。さっきまであれだけボコ殴りにされて、体もボロボロなのに、全然自分が負けるイメージが出来ない。
なので、
「なあ、キザ野郎」
「ふっ、今更怖じ気ずいたのかい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ