第3話 決闘
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のパンチでへこんでいたところへ貼っておいたので、拳を受けたカイロが破れて中身の砂が人形に向かって舞ったのだ。
ケンカにこういう手を使うのは卑怯だと思ったけど、向こうが魔法を使うなら良いかなと思い実行したのだ。
突然砂が舞ったせいて驚いたのか、人形の動きが止まる。
その隙に人形のパンチで後ろに飛んでいったトレイを無視して、人形を抜かし、ギーシュへ向けて走り出す。
――まずは一発ぶん殴る!
そんな気持ちでギーシュに迫り、右の拳を振る。
そして拳がギーシュの顔面に当たる――と、思った直後。
「ごはっ!」
「サイト!」
右側から脇腹に向けて、物凄い激痛が走り。それと同時に横へ体が飛んでいった。
……痛い。マジで痛い。……でも。
「な、なんで立ち上がるのよ! 寝てなさい、バカ!」
飛ばされた俺の元によって来て、意地で立ち上がった俺に向けてルイズが言ってきた。
どうして立ち上がるのか。そんなの決まってる。
「ムカつくから」
「ムカつく? メイジに負けたって恥でも何でもないのよ!」
俺はギーシュに向かって足が言うことをきかないが、それでも死ぬ気で歩きながらイズに言ってやった。
「うるせえ」
「え?」
「いい加減、ムカつくんだよね……。メイジだか何だか知らないけどよ。お前らそろいも揃って威張りやがって。魔法がそんなに偉いのかよ。そんなの無くても、人間暮らしていけるんだよアホが」
そんな俺を見てギーシュが薄く笑みを浮かべる。
「やるだけ無駄だと思うがね。……まあさっきは少し惜しかったけど、このザマだ」
「へっ、さっき俺が言ったことも忘れたのかよ。全然効いてねえって言ってるだろ。お前の人形弱すぎってな」
ギーシュの顔から、先ほどよりも笑みが消え、その瞬間ゴーレムの右手が俺の腹に直撃する。
……それから何発殴られただろうか。
よく覚えていないが、俺の体はボロボロだと言わざるを得なかった。
殴られて右目が腫れて視界が悪くなり、右腕の骨は完全に折れてるな。これ。
それでも俺は立ち上がる。
そして再び殴られ、何度目になるか分からないが地面に倒れこむ。
(ヤバい、意識が……)
「お願い。もうやめて!」
一瞬飛びかかった意識が、ルイズの声によって引き戻される。
見上げてその顔を見てみると、なんと、ルイズの鳶色の瞳が潤んでいた。
そんな顔を見て、俺は殴られた胸が痛くて声なんかでないと思っていたが、それでも気力で出した。
「……泣いてるのか? お前」
「泣いてないわよ。誰が泣くもんですか。……もういいじゃない。あんたはよくやったわ。こんな平民、見たことないわよ」
「い、いてえ」
ルイズが話しかけてる最中に、立ち上がったのはいいが、折れた腕のあまりの痛さに声が漏れ
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