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ゼロの使い魔 新たなる物語
第3話 決闘
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俺が広場につくと、噂を聞きつけた生徒たちで溢れかえっていた。
 その中でギーシュが薔薇を掲げ、
「諸君! 決闘だ!」
 と、カッコつけていた。それに合わせて、うおッー! と歓声が巻き起こる。
 他にも『ギーシュが決闘するぞ!』とか『相手はルイズの平民だ!』などと生徒たちは騒いでいる。
 そんな生徒たちを横切りながら、ギーシュに近づくと、腕を振りながら歓声にこたえていたギーシュがようやくこちらに気づく。
 ギーシュが振り向き睨んできたので、俺もにらめ返す。
「とりあえず、逃げずに来たことは褒めてあげようじゃないか」
 薔薇の花を(いじ)りながら、歌うように言ってくるギーシュ。
「はっ、誰が逃げるか」
「さてと、始めるとしよう……か!」
 そう言いながら、ギーシュは手に持った薔薇をふり、地面に花びらを落とす。
 それと同時に俺も、流れで持ってきてしまった銀のトレイを置いて、およそギーシュまで十歩ほどの距離だったので、一発ぶん殴ってやる――と思っていたのだが……。
 落ちた花びらが光出し、甲冑(かっちゅう)を着た女騎士の形をした人形が地面から現れ、俺の前に立ちふさがる。
 その予想外の出来事に、トレイを置くことも忘れ、
「な、なんだこりゃ!」
 驚きで叫んでしまった。
「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。当然だろう?」
「て、てめぇ……」
「ああ、そうだ。言い忘れていたが、僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。従って、青銅のゴーレムの『ワルキューレ』が君のお相手をするよ」
「なっ!」
 ギーシュがそう言った瞬間、女騎士の形のゴーレム『ワルキューレ』が俺に向かって突進してきた。
 その右の(こぶし)が俺の腹に向かってきたので、とっさに置き忘れていた銀のトレイを突き出す。
「うっ……!」
 な、なんて威力だ。
 突き出したトレイに当たったのはいいが、その威力にトレイごと拳が俺の腹にきまり、地面に倒れてしまう。
 倒れたあと、腹をおさえらがらトレイを見てみると、物を置く面が形を変えていた。……しっかり持っていなかったのあったが、それでもトレイごしなのでこの程度ですんだけど……。
 もし無かった時の事を考えると背中に嫌な汗が出てくるのを感じた。
「なんだよ。もう終わりかい?」
 地面に倒れた俺に、ギーシュの(あき)れた声が聞こえてくる。
「ギーシュ!」
「やあ、ルイズ。悪いけど君の使い魔、ちょっと借りているよ」
 地面から、よく通る声の方を見ると、ルイズが髪を揺らしながらギーシュに怒鳴っていた。
「いい加減にして! 大体、決闘は禁止されているじゃない!」
「禁止されているのは貴族同士の決闘だけだよ、ルイズ。平民と貴族の決闘は禁止されていない」
「そ、それは、そんなこと今までなかったから……」
 
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