第3話 決闘
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民たち全員をバカにしたようなことを言ったことの分も含めて、ぶん殴ってやる。
「ここでやんのか?」
ギーシュは俺よりも背は高いけど、ひょろひょろしてて、力は無さそうだ。なのでここでケンカを始めても全然かまわなかった。
「ふん……貴族の食卓を平民の血で汚すわけにはいかない。ヴェストリの広場で待っている」
そう言い、ギーシュはくるりと体を翻す。その後を、わくわくした顔でギーシュの友人が追った。
その友人の一人がテーブルに残る。俺が逃げないように見張っているらしい。
そしてもう一人俺の事を見つめる視線があった。――シエスタだ。
シエスタはぶるぶる震えながら、俺の事を見ていた。そんなシエスタに心配させないよう、笑いながら言った。
「大丈夫。あんなひょろスケに負けるかっての。何が貴族だっつの」
「あ、あなた、殺されちゃう……」
「……はぁ?」
「貴族を本気で怒らせたら……」
「あっ!」
そう言って、シエスタは走って逃げてしまった。
(……なんであんなに怯えてたんだ? そんなにあいつが強いってのか?)
わけがわからずにいると、後ろからルイズが駆け寄ってくる。
「あんた! 何してんのよ!」
「よお、ルイズ。見てたのか?」
「よお、じゃないわよ! なに勝手に決闘の約束なんかしてるのよ!」
「だって、あいつがあんまりにもムカつくから……」
俺がそうバツが悪そうに言うと、ルイズがため息をつき、やれやれと肩をすくめた。
「謝っちゃいなさいよ」
「はぁ? なんで?」
「怪我したくなかったら、謝ってきなさい。今なら許してくれるかもしれないわ」
「ふざけんな! なんで俺が謝らなくちゃいけないんだよ! 先にバカにしてきたのは向こうだし、大体、俺は親切に……!」
「いいから!」
俺の言葉も最後まで聞かず、ルイズは強い口調で言ってくる。
「……いやだね」
「わからずやね……。あのね、あんたは絶対に勝てないし、怪我もするわ。いや、けがで済んだら運がいい方なのよ」
「そんなの、やってみなくちゃわからねぇだろ」
「あのね……聞いて。メイジに平民は絶対に勝てないのよ!」
(……このまま意見が合わないまま話し合ってても、時間のムダだな)
そう思い、ルイズはとりあえずほっておくことにして、残った一人に決闘の場所を聞くことにした。
「ヴェストリの広場ってどこだ?」
すると残った一人はしゃくり、
「こっちだ。平民」
そう言って歩き始めた。
俺がそいつの後をついて行くのを見たからか、背中の方からルイズの声が聞こえた。
「ああもう! ほんとに、使い魔のくせに勝手なことばかりするんだから!」
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