第3話 決闘
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解するも、二人は怒って『うそつき!』と言って、去って行ってしまった。
しまいにはモンモランシーが、テーブルの上に置いてあったワインの壜を掴むと、中身をどぼどぼとギーシュに頭の上からかけて行ってしまった。
ギーシュはハンカチを取り出しゆっくりと顔を拭き、吹き終わると首を振りながら芝居がかったしぐらで、
「あのレディたちは、薔薇の存在の意味を理解していないようだ」
と言った。
……一生やってろ、さすがに付き合いきれん。
そう思いシエスタから銀のトレイを受け取り、再び歩き出す。
けれども――
「持ちたまえ」
立ち去ろうとする俺に、ギーシュが呼び止めてきたので足を止める。
「なんだよ」
ギーシュは椅子の上で体を回転させると、すさっ! と足を組んだ。……いい加減、そのいちいちキザったらしい仕草に頭がいたくなってきた。
「君が軽率に香水の壜なんかを拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだい?」
……こいつ、あの出来事を俺のせいだと思ってるのか?
「二股かけてたお前が悪い」
俺の言葉にギーシュの友人たちが笑った。
「その通りだ、ギーシュ! お前が悪い!」
笑われたことが恥ずかしいのか、ギーシュは顔を少し赤くする。
「いいかい、給仕君。僕は君が香水の壜をテーブルに置いたとき、知らないフリをしたじゃないか。話を合わせるぐらいの機転があってもいいんじゃないかい?」
「どっちにしろ、二股なんかそのうちバレるっつの。あと、俺は給仕じゃない」
「ふん……。ああ、君は……」
ギーシュがバカにしたように鼻を鳴らす。
「確か、あのゼロのルイズが呼び出した平民だったな。……平民に貴族の機転を期待した僕が間違っていた。行きたまえ」
俺はそのセリフにカチンときた。明らかにこいつか悪いのに、なぜ俺がここまで言われなきゃならないんだ。さすがにここまで言われたら黙っているわけにはいかない。
「うるせえ、キザ野郎。一生薔薇でもしゃぶってろ」
その言葉にギーシュの目が光る。
「どうやら……君は貴族に対する礼儀を知らないようだね」
「あいにく、貴族なんか一人もいない世界から来たんでね」
ギーシュとお互い睨み合いながら、俺もギーシュを少し真似てキザったらしい仕草で言った。
「……いいだろう。君に礼儀を教えてあげよう。ちょうどいい腹ごなしだ」
そう言いギーシュは立ち上がる。
「おもしれえ」
こいつの事は、第一印象からして気に入らなかった。
それに加えてルイズや近くにいるシエスタほどではないが、可愛い女子との二股という男には夢のシチュエーションまで実現し、おまけに俺を小バカにしくさった。
ケンカするには理由はあっても、断る理由が見当たらない。
ルイズや、俺を含めた平
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