第3話 決闘
[3/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
か? なら、こんな素晴らしい物をおつくりになられるサイトさんの国の事を、もっとおしえてくれませんか……?」
「そんなんで良いの? 力仕事とかでもやるよ?」
そう聞くと、シエスタは少し悩んでから、何か決まったのか微笑みながら言ってきた。
「うーん……なら、デザートを運ぶのを手伝ってくれませんか。この国についてはその後ということで」
「分かった。良いよ」
俺はその言葉に大きく頷いた。
====================
「なあ、ギーシュ! お前、今は誰とつきあっているだよ!」
俺がデザートの並んでいる大きな銀のトレイを持ちながら、シエスタと一緒にデザートを配っていると、そんな冷やかしのような声が聞こえた。
その声の方を見てみると、どうやら誰かが冷やかしを受けているらしい。
冷やかしを受けている奴は、金色の巻き髪にフリルのついたシャツを着た、見るからに気障なメイジで、薔薇をシャツのポケットに押し込んでいる。
「誰が恋人なんだ? ギーシュ!」
続いている冷やかしを聞いて分かったが、気障なメイジの名前はギーシュっていうらしい。
「つきあう? 僕にそのような特定の女性はいないよ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」
自分を薔薇に例えてやがる。救いようのないキザだ。見てるこっちが恥ずかしくなってきそうだ。
そんな奴とは関わらないほうが良いだろうと思い、シエスタと共にデザート配りを継続する。
そしてしばらく配っていると、そのキザな男の近くにデザートを配っている際に、俺の足もとに何かが転がってきた。
転がってきた方向からして、キザなギーシュという奴が落としたのはほとんど確実だ。だってあいつしかいないし。
落し物はガラスでできた小壜で、中に紫色の液体が揺れていた。
……仕方ない。どんなに気に入らない奴でも、落し物は落し物だ。教えてやろう。
「おい、この壜落としたぞ」
手で落ちていた小壜を持ちキザな野郎に知らせる。
しかし、ギーシュという男は振り向きもしない。こいつ、無視しやがって。
「落し物だよ。色男」
シエスタにトレイを持ってもらい、無視できないようにギーシュの座っていたテーブルに小壜を置く。
ギーシュは苦々しげに俺を見つめた後、小壜を押し付けてきた。
「これは僕のじゃない。君は何を言っているんだね?」
けれども小壜に気づいたギーシュの友人たちが、大声で騒ぎ始めた。
「おお? その香水は、もしや、モンモランシーの香水じゃないか?」
――そこからは早いものだった。
この騒ぎを聞いた一年生らしい女の子がギーシュに近づき泣き出し、それに加えモンモランシーとかいう子も加わり、ギーシュは二人に必死に弁
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ