第3話 決闘
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シエスタが連れて来てくれたのは、食堂の裏のある厨房だった。メイドさんやコックたちが頑張って大きな鍋などを使って料理を作っている。
「ちょっと待ってて下さいね」
そう言って俺に椅子を用意してくれた後、シエスタは厨房の奥へ消える。――そして数分後、お皿を抱えて戻ってきた。
シエスタはその皿を俺の前に出してくれる。どうやら中身はシチューらしい。
「貴族の方々にお出しする料理の余りモノで作ったシチューです。よかったら食べてください」
「……食べて、いいの?」
「ええ。賄い食ですけど……」
やばい、この子の優しさに泣きそうだ。
「い、いただきます」
そう言って俺はスープを口に運ぶと――美味い。その美味さになんだか泣けていた。
「おいしいよ。これ……ううっ」
「えっと……なんで泣いてるんですか?」
「いや……久しぶりにちゃんとしたモノを食べたからさ」
「ご飯を食べさせて貰えなかったんですか?」
「ゼロのルイズって言ったら、怒って皿を取り上げやがったんだ。――ごちそうさまでした」
シエスタと話している間も食べ続け、俺はすぐにシチューを食べ終えた。
なので俺は手を合わせて食べ物に感謝をすると、俺の横にいたシエスタが俺のさっきの言葉に驚いたのか、目を丸くして聞いてきた。
「き、貴族の方にそんな事を言ったんですか!?」
「うん。だって魔法が使えるだけだろ、貴族って?」
「勇気があるんですね……」
「まあ、魔法がなくても人間は困らないからな。実際、俺の故郷じゃ魔法なんか使う人いないし」
「サイトさんの故郷? ……ああ、そういえばミス・ヴァリエールに召喚されなんでしたね。――あはは、でもご冗談を。そんな国があるわけないじゃないですか」
俺の言葉を笑いながら冗談だと言うシエスタ。……何だろう、ルイズも適当に信じたと言った感じだったからか、誰かに自分の世界の事を知って貰いたい気持ちが少なからず俺にもあるのだが……なぜならこの状況を誰でも良いから聞いてほしい(多分ルイズじゃ真剣に聞いてくれないしな)。
だからなのか、ご飯を食べさして貰ったこの子に、俺の故郷の事を少し話してしまった。
まあ、ここまで信じてないと少し驚かせたくなる。
なので俺はポケットから携帯を取り出した。
朝に確認した中に、スマホじゃない携帯をモーターを手で回して充電できる式の懐中電灯がサバイバル用品の中にあったので、携帯を普通にポケットに入れておいたのだ。……ホント、スマホじゃなくて初めて良かったと思った。充電は面倒だけどな。
「それがあるんだなー、これが。まあ、違う世界だけどね」
「違う世界? どういう意味ですか、サイトさん?」
「そのままの意味だよ。俺はこのハルケギニア? ……だったけ
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