一部【スサノオ】
十三章【最初の壁】
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わけでもない。
そう、ただマスティフは目を閉じただけ。
ただその程度の動作でいとも容易く攻撃を防がれてしまい動揺を隠せない。
《おい、動けるかクラウリー!》
「動けないことは…ないですわね…」
背中を強打し這いつくばっていたクラウリーだが、力を振り絞り槍を杖に立ち上がる。
その姿はまさに満身創痍。
《俺が援護するから離脱しろ…》
「冗談…やられたって強制ログアウトするだけでしょう…」
そう言うと、力ない足取りながらも一歩また一歩とマスティフへと歩み寄る。
しかし、もはやクラウリーに戦闘能力は無いと見てか、マスティフは見向きもしない。
《ふざけんなっ!そういう考えはやめろっ!…零!クラウリーを抱えてでもつれて逃げるんだ!》
「俺もクラウリーさんと同じ考えですよ…」
皆の足を引っ張れない…強くならなければいけないという焦りからか、零もまたジャックの指示に反してその葉から逃げようという姿勢は見せない。
「何回も何回も…負けてられないんですよ」
武器を構える零。
「あのときとは違う…ジャックさんやクラウリーさんにばかり…闘わせてられないんだよっ!」
その力強い零の一歩にマスティフの耳がピクリと反応する。
それは、出会ってはじめて見せるマスティフの『興味』だった。
「俺も強くなるんだ…!エクステンド…アマテラス」
光輝く剣へと形状をかえるが、その形はオンショウ達を葬った時とは違い、赤黒く…どこか禍々しい光。
《くそっ…じゃぁせめて俺がそっちに着くまで生きてろよッ!》
零の瞳は揺るぎなく…その眼光を受け止めたマスティフは敬意をはらっているのか、真正面から向き合い対峙する。
「零…1人じゃ無理……ですわっ!」
「無理だなんて言って逃げてたら…進めないっ!」
走り出す零。
剣を振り上げ、マスティフのコアへと降り下ろす。
しかし、その程度では先程と同じくいとも簡単に受け止められてしまう。
だが、先程とは違う事…それは吹き飛ばされもせずむしろマスティフの爪を押すほどの力。
「うあぁっ!」
体の芯から、精一杯の力で零は片手剣ながらもマスティフの巨体を押し返した。
そんな光景にクラウリーは信じられないという顔で零を見やる。
「あのエクステンド……武器だけじゃなく…使用者の力も底上げしてしまいますの…?」
押し返したものの、零の息は荒く劣勢にかわりはない。
「うぁあぁっ!」
策もなく技もなくただがむしゃらに突っ込む零だが、その予測不可能な攻撃に逆に翻弄されるマスティフ。
そんな零の攻撃を受け止め捌く内に次第に苛立ち出すマスティフは再び針を飛ばす態勢にはいる。
いま、それを浴びせられては自分はともかく、
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