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八条学園怪異譚
第四十七話 洋館ではその九
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「雰囲気的にね」
「この人達がいても」
 わりかし大きな洋館だ、二人は妖怪達も見る。
「不思議じゃないわね」
「そんな感じよね」
「我々は居候だ」
 ミイラ男が二人に話す。
「洋館の地下に部屋を設けてそこで暮らしている」
「ジョシュワさん一家とは別の階でな」
「ジョシュワさん一家とは親しくしているよ」
「仲良く」
 こう話す四人だった。
「ジョシュワさん一家は大学の先生から喫茶店経営に転職してな」
「今も学園におられるのだがな」
 子孫が、というのだ。
「その初代の御仁がな」
「今もおられるのだ」
「そうなのね、そのフィリップさんが」
「一緒に来日した」
 二人はドラキュラ達の話を聞いて頷く。
「何か悪戯好きみたいだけれど」
「幽霊になってからも」
「そうなのだ、だが善人であることは事実だ」
 フランケンがこのことを保障した。
「だから安心してくれ」
「だといいけれどね」
「いい人ならね」
 二人もこの学園のそうした存在が善でなければいられないことは知っていてもそれでもこのことを聞いて安心するのだった、そうして。
 喫茶店の中に入る、するとだった。
 見ただけでハーフとわかる金髪に青い目でアジア系とヨーロッパ系の顔が混ざった青年が店にいた、すらりとした長身で白いシャツに黒のベストとズボン、ネクタイをしている。何処か執事の様な格好をしている。
 その彼がだ、六人妖怪達も入れてその数の愛実達を見て言った。店の中は落ち着いたゴシックなダークブラウンの内装である。
「お帰り」
「うむ、それでだが」
「お客人だ」
「ああ、そうなんだ」
 ハーフの青年はその話を聞いて応えた。
「まあまだ開店時間だしね」
「そうだな、店の閉店までは時間があるな」
「夕方とはいえな」
 ドラキュラ達はこう青年に話していく。
「だからだ、若旦那よ」
「この娘達に貴殿のご先祖のことを話してくれるか」
「フィリップさんのことだね」
 青年は彼等の話を聞いてすぐにこう返した、見ればカウンターの中でガラスのコップを一つずつ丁寧に磨いている。
「あの人だね」
「そうだ、あの御仁だ」
「家にいるな」
「いるけれど今は屋根裏だよ」
 その人はそこにいるというのだ。
「何でも今日の夜の散歩に備えてファッションのチェックをしているらしくてね」
「それでか」
「今は屋根裏か」
「うん、そこにいるよ」
 その部屋にいるというのだ。
「何なら呼ぶけれど」
「いや、いるならいい」
「どうせ後で来るからな」
 いいとだ、青年に返す妖怪達だった。
 そのうえでだ、青年に二人を紹介した。
「それでこの娘達だが」
「泉を探しているそうだ」
「ああ、この店の話だね」
 話を聞いてだ、すぐに返した青年だった
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