第一幕 困っている先生その一
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ドリトル先生の来日
第一幕 困っている先生
少し太っていてくすんだ金髪、優しげな顔立ちの中年男性ドリトル先生は沼のほとりのパトルビーの我が家で困った顔をしてテーブルに座っています、それはどうしてかといいますと。
「今日も来ないですね」
「そうだね」
傍にいるオウムのポリネシアに応えます、先生はちゃんとオウムの言葉で応えています。
「今日もね」
「患者さんが誰も来ないですね」
「最近不況でね」
「イギリスはしょっちゅう不況になりますね」
「不況になると病気になる人が減るんですか?」
床で御飯を食べている豚のガブガブた先生に顔を向けて尋ねてきました。
「病気になることはどうしてもじゃないんですか?」
「病院に来たらお金がかかるんだよ」
先生はガブガブに苦笑いを浮かべて答えます。
「不況になったら失業したりお給料が減るからね」
「お金がなくなるからなんだ」
「そうだよ、だから皆病院に行くのを我慢する様になるんだ」
「それで患者さんが減ってるんだ最近」
「オリンピックもあったけれどね」
先生はロンドンオリンピックのこともお話します。
「あまり経済の復活には役に立ってくれなかったみたいだね」
「何かね、失敗したみたいですよ」
テーブルの席の一つに座っているアヒルのダブダブが口やかましい感じで言ってきます、そのアヒルの言葉で。
「色々と」
「そうなんだ」
「はい、開会式の誘導から」
「折角のオリンピックだったのにね」
「それに今ヨーロッパ全体が大変ですから」
不況はイギリスだけのことではないのです。
「EUもどうなるやら」
「そうだね、だからうちの病院もね」
患者さんがめっきり減ってしまったのです。
「只でさえ少ないのに」
「バンポ王子もイギリスから出られましたしね」
犬のジップが床から言ってきます。
「何処に行かれましたっけ」
「日本だよ」
先生はジップに王子が行った国についてもお話しました。
「あの国に留学先を移したよ」
「日本、東の方の島国ですね」
「そう、我が国と同じね」
島国だというのです。
「あの国も島国だよ」
「凄く古い国ですよね」
先生の手元にいる白ネズミのホワイティーが日本について尋ねてきました、先生のそのお顔を見上げて。
「そうですよね」
「何でも二千六百年以上の歴史があるらしいよ」
「それ本当ですか?」
「実際はそれより何百年かは短いらしいけれどね」
それでもかなり長い歴史を持っている国だというのです。
「イギリスよりもさらにね」
「古い国ですか」
「しかも風景が凄く綺麗で四季がある国らしいね」
「イギリスっていつも雨ですからね」
暖炉のすぐ近くの安
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