闇の声
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かなかった。
「ダメッ!皆、諦めないで!戦わなきゃダメなの!」
「逃げろーーー!」
「うわああ!」
エルザの必死の叫びにも、奴隷達は撤退する。
「ジェラールを助けてぇぇっ!」
エルザが叫ぶ。
と、そんなエルザに向けて、魔法弾が放たれた。
「エルザー!」
「姉さーん!」
ウォーリーとショウが叫ぶ。
完全無防備のエルザが向かってくる魔法弾に目を見開いた、その時だった。
―――――――エルザの壁になるように、1人の老人が飛び込んできた。
「ロ、ロブおじいちゃん!」
エルザが声を掛ける。
この老人・・・エルザ達の牢屋の宥め役だったロブだ。
「こ、こんな老いぼれでも、少しは、役に立てて・・・よかったよ。おじいちゃんはとっくの昔に『魔力』はなくなっちゃったけどね・・・エルザちゃんにはまだ無限の可能性があるよ」
「おじいちゃん!」
傷だらけで必死に自分を守ってくれたロブに、エルザは『眼帯をしていない』左目から涙を流す。
「それは心・・・」
「心?」
ロブの言葉を、エルザが繰り返した。
「そうだよ。全ては信じる心から始まるんだよ。例えば、占いや信仰や願かけなどは『魔法』の一種だと思っていいよ。信じる者だけが感じる事の出来る奇跡なんだよなァ」
そう言いながら、ロブは優しい笑顔を浮かべる。
「魔法の存在を信じ、自分の力を信じ、自然と共にある事を信じる者だけが『魔法』を使えるんだよ」
ロブの言葉に、エルザは晴れやかな笑みを浮かべた。
「魔法・・・かぁ。なんかステキ!私・・・将来は魔法使いになって、ホウキに乗って空を飛びたいな」
牢屋にあったホウキにまたがり、ロブの前をぴょんぴょんと跳ねるエルザ。
それを見るロブは笑みをこぼし、頷いた。
「出来るとも」
「自由に、大空を!」
そしてエルザは、笑った。
太陽のように晴れやかで、花が咲き誇るように美しく、優しく、暖かい笑顔を。
「そしたら、おじいちゃんものせてあげるね」
「こんな場所であんな笑顔が見れるとは思わなかった」
「おじいちゃん!」
涙を浮かべながら、エルザが叫ぶ。
ロブはがくっと膝をつき、ゆっくりと前に倒れていく。
「自由とは心の中にある」
そう呟いて・・・ロブは、倒れた。
「エルザちゃんの夢は、きっと叶うよ」
その背中には、くすんだ赤色の妖精の尻尾の紋章が刻まれていた。
そして――――――
―――――その目が開く事は、2度となかった。
「おじいちゃーーーーーーん!」
エルザが涙を
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