闇の声
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などの武器を持ち奴隷達に向かっていく。
「怯むなぁ!数はこっちの方が多いんだ!」
「奴等の武器を奪えー!」
「自由を手に入れるんだー!」
ずっと欲してきた自由の為・・・奴隷達は一丸となって大人達に向かっていった。
ビシィ、と。
鞭が撓る音が続く。
エルザの身代わりとなり懲罰房に捕らえられたジェラールは、両手首を縄で吊るされ大人達に鞭で叩かれていた。
が、全く声はあげない。
「コイツ・・・ウンともスンとも言わなくてつまんねーな」
「こないだの女なんかビービー泣いてたのにヨ」
「ありゃーケッサクだったな!」
人が傷つき、涙を流しているのを面白そうに笑う大人達。
こないだの女、とはエルザの事だろう。
「おい・・・小僧。このRシステムの建立がいかに神聖な宗務かを理解してねぇのか。この塔の完成の暁には、貴様ら全員『楽園』に行けるんだぞ」
ぎゅむ、とジェラールの頬を潰すように掴み、男が続ける。
「Rシステムは我らが『神』を復活させる!最強の魔導士を復活させる」
「・・・」
男の言葉にジェラールはしばらく沈黙し、ゆっくりと口を開いた。
「黙れ、ブタ」
「なっ!何をコイツ!それが神官に対する口のきき方かぁ!」
ジェラールの言葉に怒った男・・・神官らしい男は更に鞭を撓らせ、ジェラールの体を叩いていく。
「その辺にしとけ。ガキの言った事だ」
「ふぅ、ふぅ・・・」
「行くぞ」
ジェラールを叩いていたのと別の男が立ち上がる。
「午後から俺達も暴徒鎮圧だとよ」
「お前が『神』を崇めるその日まで・・・ここを出さねえからな!」
そう荒々しく叫び、男2人は乱暴に牢屋の扉を閉める。
1人になったジェラールは、ゆっくりと口を開いた。
「神・・・か・・・」
先ほどの男が言っていた神・・・。
大人達にとっては大切な存在でも、ジェラールにとっては違った。
「そんなものはいない。子供1人助けられない神など、いてもいらない」
本当に神がいるのなら、自分達はとっくに神に助けられ、自由を手に入れていただろう。
が、寝ても覚めても24時間365日、自分達は奴隷であり続ける。
どれだけ自由を願っても、自由は手に入らない。
願ってもいない願いの為に働き、大人のせいで傷つき、涙する。
「憎い・・・」
―憎め・・・−
「全てが憎い。奴等も神も、この世界も全てが」
―人の悲しみが、余を強くする―
「!」
突然聞こえてきた声に、ジェラールは顔を上げ、辺りをきょろきょろと見回した。
―愉快な奴等よのう・・・余はここにいるというのに・・・−
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