変態と紳士の境界線上 その二
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からは駆動音が聞こえる。 機体に不具合がないかをチェックした後、俺の身体は重力から解き放たれたようにゆっくりと空へと上った。
砂浜を離れてから数十分は経ったろうか。
とっくに予定の空域に着いて待機中である。
『ベインズ、聞こえるか?』
オープンチャネルから織斑先生の声が聞こえる。
「聞こえますよ、織斑先生。俺は予定空域で待機中です。『福音』の頭は押さえられると思いますよ」
『そうか、解った。もう一度言うが、お前の役目は足止めだ。それを忘れるなよ。すでに織斑と篠ノ之がそちらに向かっている』
「了解。ところで織斑先生。ハイパーセンサーに船籍不明船の反応があるんですが、そちらで確認できますか?」
『何? なぜもっと早く言わん』
「今頃になって反応があったんですよ」
『ベインズ、少し待て。こちらでも確認する』
俺の眼下には海が広がっている。
太陽の光を反射してキラキラ輝いて綺麗なんだか、俺はまったく泳げないんだよなあ。
海に落ちたらまずいことになりそうだ。
役に立つかは解らないが、鈴から浮き袋でも借りてくればよかったか? なんてことを考えていると織斑先生から通信が入る。
『こちらでも確認した。が、対応する時間がない。お前は、その船籍不明船のことを考慮した上で対応しろ』
「了解。船のことは一夏たちにも―― 」
『こちらから伝えておく』
と言ったあと通信は切れた。
時間を確認すれば、『福音』がそろそろお出ましになる頃合いだろう。
「暫時衛星リンク確立……情報照合完了。目標の現在位置確認」
俺は『福音』と高度を合わせるように機体を上昇させていく。
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