追想〜聖剣エクスキャリバー〜
[1/2]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「寒ぃなぁ・・・・・・」
12月下旬。長袖のTシャツを着込み、エプロンを着けた青年がキッチンに立っていた。毎朝、忙しい義母に代わって一家の朝食を作っている。桐ヶ谷蔵人、白の剣士クラディールである。
桐ヶ谷家の朝食は(彼の気分にも依るが)大抵の場合和食である。日本人ならば米と味噌を食べるべきだろう、と言うのはクラディールの談だ。
今日の献立もその例に漏れず和食であった。白出汁と砂糖を少々入れ、卵を手早く混ぜる。この時、ザラメと言う白い塊をしっかりとっておくのがコツだ。油を少なめに敷いたフライパンに流し込み、少しずつ折り畳んで行くと出汁巻き卵の完成だ。
昨日の残りの味噌汁を温めて、その間に人数分の鮭の切り身を焼いておく。そろそろ家族たちが起きて来る頃だ。早く作り上げてしまおう。
「おはよう。良く眠れたか?」
「ああ。・・・・・・今日の献立は?」
一番早く起きてきたのはキリトだった。クラディールの朝は早いが、桐ヶ谷家の人間は皆早起きだ。朝が早く、(なぜか)いつも慌ただしい母の影響だろう。
全員がテーブルに集まった。それぞれが自分の分のご飯をよそい、クラディールの料理を受け取って席に付く。全員が両手を合わせて
「いただきます」
全員もりもりと平らげていく。ちなみに、一番食べているのは義妹である直葉だったりする。
「食べ過ぎだぞ・・・・・・」
「お兄ちゃんそれセクハラ!」
そんな言い合いをしている内に、テーブルの上の料理はどんどんと片付いていくのだった。
------
「そう言えばさ」
朝食を食べ終わり、直葉がどこからかタブレット端末を取り出した。GGOの件もあった手前、何かしたか!?と身構えるキリトとクラディールだったが、直葉は二人を吊るし上げようとしているわけではないようだ。
「違う違う。前にトンキーの上で見たエクスキャリバーが発見されたみたいなの」
「へぇ・・・・・・ついになぁ。手に入れたかったなぁ・・・・・・」
<聖剣エクスキャリバー>
火妖精最強の男、ユージーン将軍が操る剣、魔剣グラムを超越する唯一の剣だ。かつてクラディールが使い、後にキリトの手に渡った白銀の剣<英雄剣デュランダル>と対を成す黄金の剣で、かつてクラディール、キリト、リーファ、ユイが目撃してから、ほぼ丸一年、その在処を彼らたちしか知らなかったことになる。
「そうか・・・・・・俺たちみたいにトンキーを助けた奴が現れたか、別の方法を見つけたか・・・・・・」
「そうかぁ・・・・・・俺たち以外にあんなキモい・・・・・・いやさ個性的なのをなぁ・・・・・・」
「キモくないの!かわいいの!」
彼の象クラゲに不遜な物言いをしたキリトに直葉が粛清。容赦ないアイ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ