暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
Ep2ようこそ海鳴市へ〜Family and friend〜
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生前、私は独りだった。両親は忙しく、私と違って騎士ではなく、どこかの爵位の家に嫁ぐための存在とされた姉もまた、花嫁修業と言う形で屋敷を空けることが多かった。そして騎士団に入ることになって屋敷を出るその日もまた、私を見送る家族はいなかった。送り出してくれるのは使用人だけ。悲しいとは思わなかった、それが当たり前だと。だからなのはの家族と、騎士団の同僚とはまた違う誰かと一緒にご飯を食べたのがすごく嬉しかった。
「「「「「シャルちゃん!!?」」」」」
みんなが私を見て、何故か驚いている。
「はい、何でしょうか?」
「何でしょうか?って、シャルちゃん泣いてるよ・・・!」
「料理に何か問題でもあったのかな?」
なのはが泣きそうな顔で私を見て、士郎さんが自分の作った料理を前に何か考えている。桃子さんや恭也さん、美由希さんも心配そうな顔で私を見ている。私はあまりの嬉しさに涙を流してしまっているようだった。暖かな食事と言うのがあまりにも嬉しくて、いつの間にか流していた涙にさえ気付かなかった。目を擦って涙を止めようとするけれど、全く止まらないどころかさらに溢れてくる。
「ち、違うんです。料理は・・・すごく・・・美味しくて。そうじゃなくて・・・こうして誰かと一緒に食べるのが初めてで、それが・・・嬉しくて・・・だから・・・」
堰を切ったかのように私は泣き出してしまった。まるで外見通りの子供のように。何よこれ? “界律の守護神テスタメント”である私には涙はもう必要ないのに、嬉しいなんて思ってはダメなのに。今、胸にあるこの感情は・・・これだけは失いたくない。
(そうか、これが、心の壊れたかつての“彼”を元に戻した想い、“幸せ”・・・なのね)
未だ泣き続ける私の元に、なのはを始めとした高町家の人が集まって来た。
「寂しかったのねシャルちゃん。この家にいる間は、ううん、そのあとでも私のことを本当のお母さんだと思ってくれていいのよ」
そう言って桃子さんは私を抱きしめて、両腕の中に私を包み込む。温かい。そしてほのかに香る優しい香り。これが・・・母の温もり・・・? 生前も死後も知ることの出来なかったものだ。
「私のこともお姉ちゃんだと思ってね」
美由希さんは私の左手を取り、私ごときのために泣いてくれている。
「俺のことは本当のお父さんだと思ってくれ」
士郎さんも桃子さんみたいに、私を大きな体で包んでくれる。
「そうだな。なら、俺もお兄ちゃんだと思ってくれ」
恭也さんは少し照れた顔をしてそう言ってくれた。
「シャルちゃん、私は・・・」
なのはが私の右手を握りながら続きを話す前に、「フフ、妹よね」少し意地悪をする。
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
高町家になのはの声
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