第39話 「帝国のグランドデザイン」
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ヴィルヘルミナの中で、リッテンハイム候の声が響き渡る。
スクリーンに映し出される侯爵の姿に、兵士達は再び驚かされた。
門閥貴族の雄が歓迎の意志を見せたのだ。
銀河帝国皇太子・帝国宰相ルードヴィヒ・フォン・ゴールデンバウム。
帝国軍宇宙艦隊司令長官グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー元帥。
門閥貴族の雄ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム候爵。
皇太子も軍も貴族も帰還兵を受け入れている。
今までの帝国ではありえなかった事だ。
皇太子の言った、
『少しはマシな帝国になったと』
という言葉は真実だ。
帝国が変わったことを、帰還兵達はこの時初めて知った。今まではどこか半信半疑であった事が、事実として受け止められたのだ。
私こと、ウルリッヒ・ケスラーはこの場に居合わせたことを、一生忘れないだろう。
「さあ諸君。我々とともに新しい帝国を作っていこう!!」
宰相閣下の言葉が聞こえた。
その途端に歓声が響き渡った。
彼らはよき帝国臣民になるだろう。
松明の行進が続く。音楽隊も奏でながら歩き出す。
一番最後に宰相閣下が総旗艦ヴィルヘルミナのタラップに足を掛けた。
窓にへばりつくように兵士達が、宰相閣下の姿を見つめている。
「あれが俺たちの皇太子殿下だ。次期皇帝陛下だぞ」
誰かが呟いた。その声に煽られ、
「ジークライヒ!!」
「ジーククローヌプリンツ!!」
帰還兵のみならず、艦隊、イゼルローンに駐留している兵士達からさえ、歓声が沸き起こる。
■ジョアン・レベロ■
皇太子が帰還兵を連れて、オーディンへ帰っていった。
歓声の声がいまだ耳に残っているようだ。
「皇太子の人気は凄いな……」
「彼は正統な皇太子だ。その皇太子が、改革を唱え、実行している。支持しない理由がない」
「そうだな。我々ですら、彼を支持している。このまま和平が成立すればいい、と」
思わず呟いた言葉に、ホワンが反応する。
本当に彼を支持しているんだ。銀河の平和のためにも。
「さて、我々も急いで本国に帰らねば。呆けている場合じゃない」
「お、おい」
「今回の皇太子の明言を公表しなくてならない」
ホワンが急いで同盟の艦隊へと戻っていった。
息を切らせて追いつくと、ホワンが涼しげな笑みを浮かべて、何事かを再び考え込んでいる。
「どうしたんだ?」
「あの皇太子は侵攻の意志はないと明言したんだ。その事を公表する。主戦派を抑えるために」
「確かにそうだが……」
「だから公表するんだ。公表する事に意味がある」
「公表する事に意味がある?」
「あの皇太子は、銀河で一番注目されている人物だ。そして改革の主導者で、その皇太子は自らの言葉を無視
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