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とある碧空の暴風族(ストームライダー)
妹達
Trick57_助けてよ
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アイツを吹き飛ばした一方通行は、倒れたままで何か見つけたかのように呟いていた。

「この手で大気の流れる風の『向き』を掴み取れば、
 世界中に流れる風の動き全てを手中に収める事が出来れば、
 世界を滅ぼす事だって可能。

 『学園都市最強』? 『絶対能力者(レベル6)』?

 そんなモンはもォ   ――――いらねェ!

 一方通行を止められるものなンざ
 この世のどこにも存在しねェ!!」

場の空気が変わった。比喩表現ではなく、まさしく空気の『向き』が変わった。

「――圧縮。空気を圧縮、圧縮、圧縮ねぇ。

 イイぜェ! 愉快な事思いついた!!」

一方通行はゆっくりと立ち上がり、アイツを、血だまりに沈んでいるアイツを見た。

「ク・・・ククッ
 なンだよ、そのザマはァ! 立てよ、最弱ッ!!

 オマエにゃまだまだ付き合ってもらわなきゃ割に合わねンだっつの!!!」

空気の『向き』は更に加速(アクセラレート)する。


・・・もう、限界。アイツは私を戦わせたくなかったみたいだけど、限界!

「一方通行!!」

「ア?」

「動かないで!!」

私は右手に弾丸(コイン)を握り、一方通行に向けた。

私も、戦う!!

「や・・・」

「!?」

「・・・・、めろ。みさか」

小さな声は、アイツだった。

「―――やめろ、御坂!」

その声に、私の手はピタリと止まった。
体はうつ伏せで倒れたままだけど、左手が私を止めるように伸ばされていた。

よかった。まだ息がある。急げば・・・・

・・・急ぐためにも、私は戦わなくちゃいけない。

アイツの計画では、『無能力者(レベル0)が超能力者(レベル5)に勝たなければ』
成り立たない。

私が戦闘に手を出した時点で、その計画は失敗してしまう。

一方通行の標的はアイツだ。

私が手を出さなければ、爆風の塊がアイツを押し潰す。
私が手を出せば、アンタは1万もの妹達を見殺しにする事になる。

それでも私は黙って見過ごす事なんて出来ない。

「ゴメン」

だからといって、私はあの子達を見殺しにするわけじゃない。

私にはもう一つの計画がある。私がわざと負ければ、『実験』が止まるかもしれない。

「ゴメン」

だから、最後にアンタには謝っておく。

「ゴメン。アンタの夢は叶えられないけど、私が死ねば実験はそれで終わり」

勝手かもしれない。それでも――――私はアンタに生きて欲しいんだと思う。
アンタがいたから、私はこうして戦える。
すぐに・・・

私は右手を突き出した。

なんでこんな事になっちゃったのかな。
何でもっと違う、ずっと異なる、誰もが笑って誰も
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