妹達
Trick57_助けてよ
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いけなかったのに。
アイツなら私に出来ない事でも、当たり前のようにこなしちゃうんじゃないか
・・ていう予感があったから。
でも・・・そんなもの何の根拠もないし、一方通行のベクトル操作を破る術なんて
理論上この世には存在しない。
『お前が来たら2人がかりであいつを倒した事になっちまう。
だからここにいてくれ』
アイツはそんな事を言って私をこの場に引き止めた。
一方通行を倒すなんて、そんな事できる訳・・・
それにやっぱり他人任せにできない理由がある。
まずは自分の気持ちと向き合わなきゃいけない。
アイツから数分遅れて、私はあの子が居る場所、アイツが向かった場所に走った。
うそっ!? と最初に見た光景は信じられなかった。
一方通行は私なんかとは次元が違う。世界中の軍隊を敵に回しても
ケロリと笑ってられるような化物。
その一方通行を相手にして押していた。
学園都市最強が相手なのに
何の関係もない赤の他人なのに
逃げ出したって誰も責めないのに・・・
ふと、辺りを見渡した。あの子がいた。
あの子は怪我だらけで、軍用ゴーグルも壊れて倒れていたが、
微かに体が呼吸で上下しているのが見えた。
よかった。あの子はまだ生きている。
安心したが、まだ問題は残っている。一番の問題の一方通行だ。
だけどアイツの“右手”は確実に一方通行への攻撃に通じている。
反射されるはずの打撃が、頬や鳩尾へと撃たれていく。
今もまた、顎へと“右手”のアッパーが当たり、一方通行を後ろへと飛ばした。
最弱のアイツが、最強の一方通行を倒せる。
ツリーダイアグラムの結果が、大きな前提条件の間違いで覆せるかもしれない。
そう思った直後に空気が爆ぜた、一方通行を中心に。
「くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかくきくこくくけくかきくこけくけくきくきこきかかーーーーー!!!!!」
倒れていた一方通行が叫び、周りの貨物コンテナが空気により吹き飛んだ。
「きゃ!?」
離れている私にも余波が届き、近くのフェンスを掴んでなければ飛ばされていたかもしれない。
「何なのよ、急に・・・」
私の目が捉えたのは、アイツだった。
風で飛ばされたアイツだった。
ゴン! グチャ
「・・・え・・・・は
・・・な・・んで・・いや・・・・・・・
いやああああああッ!!」
飛ばされたアイツは風車の主柱にぶつかり、10mほどの高さから落ちた。
じわじわと広がる血だまりだが、アイツは指先も動かない。
「『空気』『風』『大気』
あンじゃねェか。目の前のクソをブチ殺すタマがここに・・・」
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