アインクラッド 後編
穹色の風
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!!」
「な……ッ!?」
聞き覚えのある声にマサキが驚いて振り向くと、到着した援護隊の一番前でジュンが刀を振り上げながら駆け寄ろうとしていた。更に、残りの三人にいたっては誰よりも先行してこちらに走ってくるではないか。
「馬鹿! 来るんじゃない! こいつはお前たちが敵う相手じゃ「マサキさん後ろ!!」――!?」
彼らが転移していなかったことに気付いたマサキが何とか突撃を止めさせようと叫んだ一瞬の隙を突いて、仏像は巨大な鎌を振り下ろした。マサキは咄嗟に蒼風でガードを試みるが、筋力値の差によって大きく弾かれ、さらに発動していた《雪風》もキャンセルさせられてしまう。
「しま……っ!?」
そして、この仏像がマサキが見せた最大の隙を見逃すはずもなく。マサキは横薙ぎに振るわれた槌に全身を思い切り殴られる。
「ぐ……がはっ……!?」
くの字に折られたマサキの体が地面と平行に吹き飛ばされ、一気に減ったHPが残り一ドットを残して辛うじて止まる。
……しかし、不幸はそれだけでは終わらなかった。
「え……?」
マサキが吹き飛んだ先に待ち受けていたのは、壁でも石床でもなく、あの三人組だった。彼らは突然高速で飛んできたマサキをよけることも受け止めることも出来ず、三人一緒に巻き添えを喰らって吹き飛んだ。
「ぐ……あぁ……」
そして、ぐらぐらと安定しない視線を強引にまとめたマサキの視界に飛び込んできたのは、周囲で倒れている三人組と、頭上で気味の悪い笑顔を浮かべた仏像だった。ニヤリと歪んだ能面の口元に、鮮血のように真っ赤な光が迸る。
「――ッ!!」
マサキは咄嗟に蒼風を掴むと、《瞬風》で退避。直後、マサキがいた場所を紅い光が包む。
「え……?」
「あ、あれ……?」
全滅かとも思われた状況だったが、撒き散らされた光には何故か攻撃判定が存在していなかったらしく、彼らがダメージを受けることはなかった。マサキの隣まで駆け寄ってきたジュンが、それを見てほうっと息をつく。
「……帰れと言ったはずだ」
《瞬風》で遠くに飛びすぎたため座り込んだ状態で技後硬直を受けているマサキが、厳しい声色でジュンに言った。
「それは……その、マサキさんの力になりたくて……」
「その結果、俺まで危険に晒されたとしても?」
「それは……」
後ろめたさのあるジュンは、強く言い返せずに黙ってしまった。それからしばし考え込んでいたが、やがて蚊の鳴くような声で「分かりました」と言って仲間のもとへ向かっていった。
キリトを始めとした第二陣やヒースクリフの奮闘もあり、現在前線は落ち着いている。転移するには安全かつ絶好のタイミングだろう。が……。
「……うん?」
何かあったとき即座に《夕
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