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ソードアート・オンライン 穹色の風
アインクラッド 後編
穹色の風
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「……いや。いい」
「でも……」
「いいんだ」

 エミに背中を向けたまま、マサキは強く断った。まるで、泣くのを我慢している子供のような、震えた声だった。

「……帰ってくれ」

 念を押すようにマサキが言った。エミはしばし考えていたが、やがてゆっくりとその場を去った。
 マサキはそれを確認すると、マツの間から覗く、星一つない虚空を見上げた。

「俺は――」

 ――本当に、これで良かったのか。
 そう続けようとして、出来なかった。
 木枯らしに揺れる小さな墓標と、少年(ジュン)の見せた表情だけが答えだった。

「……行くか」

 泣くように呟いて、マサキは一人、林を包む闇の中に消えた。それを追うように、耐久力の尽きた花が蒼く散った。

 現在時刻は午前0時。……たった今、夜は、深夜へと変わった。
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