アインクラッド 後編
穹色の風
[12/12]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
「……いや。いい」
「でも……」
「いいんだ」
エミに背中を向けたまま、マサキは強く断った。まるで、泣くのを我慢している子供のような、震えた声だった。
「……帰ってくれ」
念を押すようにマサキが言った。エミはしばし考えていたが、やがてゆっくりとその場を去った。
マサキはそれを確認すると、マツの間から覗く、星一つない虚空を見上げた。
「俺は――」
――本当に、これで良かったのか。
そう続けようとして、出来なかった。
木枯らしに揺れる小さな墓標と、少年の見せた表情だけが答えだった。
「……行くか」
泣くように呟いて、マサキは一人、林を包む闇の中に消えた。それを追うように、耐久力の尽きた花が蒼く散った。
現在時刻は午前0時。……たった今、夜は、深夜へと変わった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ