アインクラッド 後編
穹色の風
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参加を出し渋る可能性もある。下手をすれば、攻略自体がここで頓挫しかねない」
「…………」
押し黙ったアスナを見て説き伏せたと判断したのか、マサキは急に振り向いて、ジュンたち四人に向き直った。
「お前たちは今すぐここから転移で脱出しろ。正直、お前たちのレベルとスキルではこの相手は厳しすぎる。恐らく今頃、援護隊が慌てて出発しようとしているはずだ。彼らに今の詳細な状況を伝えてくれ。……エミはアスナと一緒に、まだ戦えそうなプレイヤーを掻き集めてポーションで回復。援護隊の到着を待って、再び加勢しろ」
「……分かった。でも、それじゃあマサキ君は……?」
「いくらヒースクリフとは言え、一人であの相手は手に余るだろう。俺も向かって、二人で時間を稼ぐ」
「そんな……! だったら、俺たちも残ります! マサキさんが戦ってるのに、俺たちだけ逃げるなんて……!」
心配そうなジュンの言葉に、他の三人も頷く。そんな彼らを見て、マサキは呆れたように頭を掻いた。
「言っただろう。お前たちでは力不足、足手まといだ。それに、戦況を正しく伝えることは重要な仕事だ」
「…………」
「でも、そんなことして、マサキ君が死んじゃったら……!」
痛いところを突かれて押し黙った四人の代わりに、今度はエミが噛み付いた。不安そうな声に、マサキは一瞬考えるような仕草を見せる。
だが。
「死ぬ……。……そうか、そうだったな……」
続くマサキの反応は、エミが思っていたよりもずっとあっさりとしたものだった。斜め上の反応に、エミたちは揃って毒気を抜かれたようにキョトンと驚く。
「……とにかく、時間は何とかする。後は言った通りにやってくれ」
そうとだけ言い残すと、マサキは尚も止めようとするジュンたちを振り切って駆け出した。一気にトップスピードまで到達すると、腰元の鞘から再び蒼風を抜き放ち、高々と跳躍。ボスの胸程度の高さまでジャンプすると、身体を捻りながら地面に対して垂直に刀を一回転させるように振るう。その途端、水色の光が残る軌道から空気の奔流があふれ出し、やがてそれは巨大な竜巻となってマサキの姿を覆い隠す。
風刀スキル単発攻撃技《旋花》。本来は作り出した竜巻を相手にぶつけて攻撃する技だが、マサキは自らその中心部に飛び込むと、中心部の強烈な気流を利用して、カタパルトのように自身を射出した。そして空中で技後硬直が解けるや否や、風刀スキル最大の攻撃力を誇る重攻撃技《神風》を発動。空気を切り裂く轟音と衝撃波を撒き散らしながら、吹き荒れる暴風とライトエフェクトを纏った刀身を、猛々しい筋肉を晒した胸部へと突き立てる。
「ギェァァァァァッ!?!?」
強烈な一撃を胸に受けた仏像は、僅かによろけながら
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