アインクラッド 後編
激闘、第五十層フロアボス攻略戦
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だ。
「……はあ?」
あまりの脈絡のなさにさすがのマサキも追いつけず、説明を求めて視線をエミに移す。
「……ね、マサキ君。夕ご飯まだでしょ? よかったら、一緒に食べない?」
すると、いつも通りの優しげな笑みを浮かべながら、天使様はそう誘ったのだった。
「……で、君はこの親睦会とやらをセッティングしたと」
天井に吊るされた照明から柔らかな暖色の光が漏れるレストラン。BGMのシックな音楽を聴きながらマサキは言って、目の前のサラダを口に運んだ。
このレストランに入ってから聞かされた説明によると、この四人組は以前エミがレベリングを手伝ったことがある、最近攻略組に上がって来た元中層ギルドで、全員が(中でも先ほど大声を上げた刀使いの少年が特に)マサキに対して強い憧れを抱いているらしい。
今回彼らはボス戦に初招集されることになり、世話になったエミと食事会を開こうとしたのだが、彼らがマサキに憧れていることを思い出したエミが急遽マサキを席に誘うことを提案、会館の外で待ち伏せて出てきたところを捕縛、連行した、と。よくもまあそんなところにまで気が回ることだ。
「そういえば……」
そろそろメインディッシュも食べ終わろうかという頃になって、大声を上げた刀使いの少年――確か名前をジュンと言ったか――が、思い出したように口を開いた。
「今回のボス戦は、夜にやるんですね? 俺、ずっと昼にやるもんだと思ってました。何か意味とかあったりするんですか?」
突然の質問だったが、他の三人も気になっていたらしく、「あ、確かに」だの「それ俺も思ってた」だのといった言葉が口々に上がった。彼らの視線が答えを求めてマサキとエミに集中する。
この程度の質問ならどうせエミが答えるだろうと、マサキは無視して最後の一口分の肉を口に放り込もうとした。のだが。
「えっと……マサキ君、何でだっけ?」
こともあろうか、エミは話をこちらに振ってきた。攻略組の中でもベテランの部類である彼女なら、知らないはずはないのだが……。
自身に集中した答えを催促するような視線に負け、マサキはエミを一瞥してから渋々解説を始めた。
「……この層のフィールドにポップするモンスターは、昼よりも夜のほうが攻撃力と敏捷性が高く、逆にHPと防御に劣る。それに、夜のほうが単独行動する種類が多い。ボス討伐隊クラスの集団なら夜のほうが被害を抑えられると、攻略組の首脳連中は踏んだんだよ」
前述したとおり、マサキが解説したのは特に難しいことでもない。むしろ攻略組なら容易に想像できるだろう。が、憧れの人の解説というフィルター越しにそれを聞いてしまった彼らは、まるで世紀の大演説を聞いたかのような尊敬の眼差しを向けてくる。
「あ! じゃ、じ
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