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World of Destiny Crossed―魔法少女と剣士の物語―
第一部
魔法少女と剣士
やって来た非日常
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て、私は見てしまいました。黒い蝶が舞う中、そこらじゅうに立つ、顔の無い男の人。それらがカクカクと動き、私達を見てケラケラと笑います。
いつしか、その奇妙な怪物達は目の前に迫り、顔の無い頭を近づけ―――
「きゃあああああっ!!」
さやかちゃんが叫ぶのと、
「―――その子達に寄るな、怪物共」
怪物の胸元辺りから黄色く光った腕が突き出て来て怪物が霧消したのは同時でした。
「……なんだ、これ」
私の心は数秒前と違ってとても落ち着いていました。狭窄した視界が広がっていき、四肢に力が甦ってきます。
「ゆう、くん……」
「……大丈夫か、まどか?」
さっきまで閃光を放っていた。自分の腕を驚いたように見ていた朝宮悠君は私の肩に手を乗せて、心配そうに顔を覗いてきます。
「うん、大丈夫……悠君、これって……」
「……悪いがさっぱり。一応、確認しておくが、ここって『現実世界』?俺って生身?」
おかしな質問でしたが、悠君がさっきの腕の光を見ていたのを思いだし、言わんとする事が分かりました。
「何かよく分かんねぇけど…………もしかしたら、そうゆうことか?」
おもむろに悠君が右の拳を握り締め、腰の辺りで溜めるようなしぐさをします。すると―――
「やっぱりか」
拳を今度は緑色の光が包み、時間と共にその光度を増していきます。怪物が一匹、悠君に飛び掛かりました。
「悠、避けて!!」
さやかちゃんが叫びますが、もう間に合いません。悠君は怪物をかわす代わりに右の拳を素早く突き出しました。
「《閃打》」
怪物がまたもや霧散。辺りはもう笑い声も響いていません。
「どうした?終わりか、雑魚共」
彼のその冷酷な声が異様に響きます。
「ゆ、悠?」
「悠、君?」
いつものんびりとした口調の悠君の面影は全くありません。笑い声を納めた怪物達は今度はギチギチと怪音をたてながら増えていきます。
「ふ、物量で勝負か。単純な奴等だ」
悠君が右腕を頭上に、左腕を地面に向けて構え、それを淡い群青の光が包みます。
しかし、私達がその先を見ることはありませんでした。
「よく頑張ったわね。もういいわよ」
黄色い閃光が怪物を薙ぎ払い、スタッと人影が現れました。
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