ジャンヌ・ダルク
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黙らねぇと舌を引っこ抜くぞ!」
そう脅して泣きやませようとするが、逆にショウは泣き喚く。
「うあああ・・・!」
「落ち着け、ショウ」
「ショウ君・・・大丈夫だよ。おじいちゃんが近くにいるからね」
大人の叫び、ショウの鳴き声、ショウを泣き止ませようと宥める声・・・。
その全てが雑音となって流れ、エルザの耳に入っていく。
思わずエルザは耳を塞いだ。
雑音。
雑音。
雑音。
泣くショウ。
宥めるウォーリー。
力強い笑みを浮かべるジェラール。
耳を塞ぐ。
目を閉じる。
歯を食いしばる。
頭の中に響く、ジェラールの声。
―戦うしかない―
その言葉が、エルザの中に響く。
「うぁあぁぁぁあぁあぁあああぁっ!」
次の瞬間、エルザは男の1人の槍を掴み、男達を思い切り斬りつけた。
「な!」
同じ牢にいた子供たちが目を見開く。
「何だ何だ!?」
「隣の牢だ!」
その牢の隣の牢の子供達がエルザ達のいる牢を見つめた。
「反乱だーーーーーーーーー!」
男が叫んだ。
エルザは槍を力強く掴み、後ろで驚きながら見ているショウ達に力強く叫ぶ。
「従っても逃げても、自由は手に入らない。戦うしかない!自由の為に立ち上がれぇぇ!」
楽園の塔に、子供たちの咆哮が響き渡った。
「私達は自由の為・・・ジェラールを救う為に立ち上がった。あの頃のジェラールは皆のリーダーで正義感が強くて・・・私の憧れだった・・・」
そう語りながらも、エルザの表情は暗くなっていく。
「しかし・・・ある時を境にジェラールは別人のように変わってしまった」
そう言うエルザの頭の中には、ジェラールの姿が浮かんでいた。
懲罰房で、ボロボロになっているジェラールの姿が・・・。
「もし人を悪と呼べるなら、私はジェラールをそう呼ぶだろう」
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