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ムーンライト=レヴュー50s
第二章
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第二章

「それじゃあそれでね」
「御願いするわ」
「じゃあ今はどうしようか」
「そうね」
 僕の言葉を受けて。暖かくなった心で答えてくれた。
「また思い出したわ。あの時のこと」
「今度は何のことを?」
「クリスマスのことよ」
 次に思い出したのはそれだった。クリスマスだった。
「あの時。二人で踊ったわよね」
「パーティーでね」
「その頃に戻ってみたくなったわ」
 まるでタイムマシンみたいに色々なことを思い出させてくれるキャンドルを眺めながら。そう語るのだった。
「それでいいかしら」
「うん。じゃあ踊ろうか」
「ええ。それじゃあ」
 僕達は立ち上がった。そうしてお互いの手を取り合う。それから。
「踊りは覚えているよね」
「あの時の踊りよね」
「うん、曲も」
 そう彼女に尋ねた。
「それはどうかな」
「思い出したわ」
 これは彼女の返事だった。やっぱり思い出させてくれたのはキャンドルの光だった。それが何もかも思い出させてくれるのだった。その暖かい淡い光で。
「今ね。貴方は?」
「僕もだよ」
 僕もそれは同じだった。不思議なことだけれどその光の前には当然に思えた。
「思い出したよ、曲もね」
「じゃあ踊れるわね」
「うん。二人で機嫌よく踊ろうよ」
 こう彼女に提案した。
「シンデレラみたいにね」
「けれど十二時になっても帰らないわ」
 今夜のシンデレラは時間がたっぷりとあった。
「このままずっと」
「一緒にいようね」
「ええ。けれど」
 ここでまた言ってきた。
「これが終わったらだけれど」
「どうするの?」
「明日でいいけれどパーティーしない?」
 またキャンドルの灯りを見ながらの言葉だった。
「パーティー!?」
「また思い出したの。信念は皆で集まるじゃない」
「うん」
 それが僕達の仲間のいつものことだった。そうして馬鹿騒ぎをして新年を一緒に祝う。キャンドルがそのことも思い出させてくれたみたいだ。
「それをしてみたくなったんだけれど」
「いいね、それ」
 彼女の提案に微笑んだ。
「じゃあそれやろう。いいよ、それ」
「賛成してくれるのね」
「さっきまで僕も寂しかったしね」
 実はそうだった。この部屋でこうして彼女といるまでとても寂しかった。その寂しさは今は完全に消えたけれどそれでも暖かい気持ちを忘れたくなかったから。こうして賛成した。
「じゃあ皆を集めよう」
「ええ。それじゃあ」
「踊ろうか」
「二人で。今日はずっとね」
「一緒にね」
 そう言葉を交あわせて踊る。曲なんかいらなかった。それは僕達の頭の中にある。キャンドルの光が教えてくれるその音楽の中で僕達は踊り続けた。二人の楽しい日々を思い出しながら。笑顔で踊るのだった。寂しさを消して。

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