第二十話「壮絶料理対決 前編」
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なんとも言えない色っぽさを醸し出している。
一年前にはなかった大人びた横顔に心臓が強く胸を叩いた。
(――って、おいおい何を考えているんだ俺は)
女性慣れしていない自分の単純さに苦笑する。これではちょっと甘い言葉をささやかれただけで舞い上がる思春期男子ではないか。
(いや、まさに思春期真っ只中だったな……)
そんな風にフィアを眺めていると。
「あの、リシャルト君? そうやって視姦されると落ち着かないんだけど」
フィアがちょっと困ったような表情を浮かべていた。
「女の子が視姦なんて言うな」
「あら、頭の中で凋落した王女をめちゃくちゃにしたいとか、裸エプロンが見たいとか、奴隷のように調教したいと思うのはリシャルト君の勝手だけど、まだ私たちには早すぎると思うの」
「お前は俺をなんだと思っているんだ……」
「煩悩を抱えた男の子でしょ? 男の子だから仕方ないと思うけど……そうね、正直妄想とはいえ欲望の赴くままに使われるのは気持ちのいいものではないわね」
「……一度、じっくり語り合う必要があるみたいだな」
我が家に招待してじっくり夜を明かして語り合わねば。フフフフ……説教フルコースは何年振りだろうか。
暗い笑い声を胸中で漏らす俺に構わず、フィアは自信満々の顔で言う。
「あら、精霊王に仕える〈神議院〉の姫巫女をあまり甘く見ないでもらいたいわね。その気になればリシャルト君の考えていることなんてお見通しなんだから」
「ほう、なら今何を考えているか当ててもらおうか」
いいわよ、とフィアは俺の額に手を当てた。
ひんやりとして気持ちいい。
「……え? やだ、裸メイドだなんて、そんなはしたない……」
「はしたないのはお前の頭だ!」
ぺちんと頭をひっぱたく。
というか、裸メイドってなんだ!? カチューシャだけつけたメイドか? そんな発想を生み出すお前の頭が余程はしたないわっ!
ちなみに考えていたことは『辛いものは苦手なんだが』である。
「リシャルト。お肉の焼き加減はミディアムがいい? それともウェルダン?」
「どちらかというとレアかな――って、おい」
振り返ると掌に火球を浮かべたクレアの姿が。
にっこり笑顔なのに悪寒を感じる。
「あ、あんたってば……最低。裸エプロン、最低!」
「おい落ち着けクレア。それは人に向けるものじゃないぞ? そして裸エプロンは俺じゃない」
「あんたなんか……不埒な妄想ごとお星さまになっちゃえばいいんだー!」
――ああ……故郷の妹よ
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