狂った人形編
忍び寄る影
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「ハァ、ハァ……」
男は逃げる。自分が走っているわけでもないのに息は荒い。それは彼がなにかに興奮しているわけでもない。まるでなにかから逃げているような、何か焦っているような、まるでそんな顔をしていた。
(これ以上犠牲者を増やせるかよ……!)
男は何かを決心したように頬を緩ませる。
この男は小学生の中に入っているわけではない。彼女が背負っているそれに、彼は入っていた。
(待ってなよ……マッドドール……!)
「ハァ、ハァ……どこ行った?」
『そこを右だよー。』
「了解!」
俺は指示通りに駆ける。自分の疑いを晴らすために、
今はちょうど登校時間なのか学生を良く見かける。
そんなことはどうでもいい、前科者になるよりかはマシだ。
そして俺はふと思ったことを口に出した。
「どうして喧嘩になったんだ?」
そう聞くとカバンの神はうつむき黙る。
しばらく走るとやっと口を開いた。
『マッドドールって知ってるー?』
カバンの神が急に聞いてくる。聞いた事はないがそれを和訳すると狂った人形<マッドドール>となる。
「知らんがあまりいい意味ではなさそうだな。って言うかちょっと歩いていいか? 疲れた。」
『うん、いいよー。まあ、マッドドールというのはねー、まず人の魂が人形に宿ることって知ってるー?』
「あれだろ? ブードゥー教の呪文だったり、大きな未練を残してその魂が人形に宿るってアレだろ?」
って言うかそんな映画があった気がする。チャ○ルドプレイ……だったか? 殺人鬼がブードゥー教の呪文で人形に乗り移るってやつ。
『そう、正しくそれだよー。今回のは未練があった形らしいけどー。』
「……まさか?」
『そう、そのまさかー。でも、乗り移ったのは殺人鬼なんかじゃないらしいよー。普通の善良な市民ー。』
「それは分かったが、それとお前の弟にはどんな関係が?」
人形のことは知ってもこれを知らなければ話にならない。
『見てしまったらしいのー、殺人現場をー、子供の死体が三つほど並んでいたらしいのー。』
「!!」
その言葉に喉が一瞬詰まった。頭がクラッときた。俺の平凡な日常の中で……殺人事件……
「け、けどそんな大げさな殺人事件があるんだったらニュースなんかにも載るはずじゃあ……」
自慢じゃないがこう見えて俺は暇人なのでニュースは毎日欠かさず見ている。しかし、そんなニュースは見たことがない。
『何か不思議な力で揉み消されたと考えるのが妥当かもー、でもそうだとすればランクの高い神や天使が関わっている可能性が高いかもー。』
まさかこんな早い段階でそんな事件に間接的とは言え巻き込まれるとは……
「それでお前の弟はどうしたんだ?」
『彼を、狂った人形を止めると言い出したー。
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