第五十九話 三人の戦いその一
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久遠の神話
第五十九話 三人の戦い
王はこの日も店の厨房に白いコックの姿で立っていた、そのうえで大きく重い黒の中華鍋を操りながら。
炒飯を焼いている、燃え盛るコンロの火の上で炒飯を鍋で躍らせてからそのうえでウェイターに顔を向けて言った。
「炒飯三つできたよ」
「はい、わかりました」
「これね」
その炒飯を白い皿の上に丸く盛って出す。
「宜しくね」
「わかりました」
「後は麺だね」
「チャーシュー麺いけますか?」
「これね」
その麺を跳ねさせてトリガラスープの入った丼で受け止める。その上に素早く葱とモヤシ、それと五枚の厚いチャーシューを乗せたのだった。
「どうぞ」
「はい」
「後jは蒸しものだね」
「小龍包と肉饅、それにフカヒレ餃子です」
「それもすぐに出来るよ」
王は素早くかつ的確に動き料理を進めていく、その料理を食べた客達は目を細めさせてこう言うのだった。
「いや、このお店味がまたよくなったよね」
「そうだよね、新しい人が来たらしいけれど」
「その人のお陰でね」
「随分とよくなったね」
炒飯や麺、それに点心を食べながらの言葉だ。
「火の加減もいいし」
「味付けも絶妙」
「しかも外観も綺麗だしね」
「作るのも早くなったから」
「いや、凄い人が入ってくれたよ」
「本当にね」
彼等は王の作る料理に舌鼓を打っていた、店の評判は鰻登りだった。
だが王はそのことに慢心せずだった。
厨房の中の銀のテーブルの上に餃子、焼き餃子の皮をトランプのカードを配る様に投げて置く。その上に具をやはり素早く投げて置く。
そしてそのテーブルを勢いよくその手でどん、と叩いてだった。
餃子の皮を浮かせる、そしてその皮を上から片手で掴んでいく。
そのうえで餃子を作ったのだった。
一瞬にして百個の焼き餃子を作る、店の他のコック達は彼のそれを見て驚きと賞賛の声でこう言ったのだった。
「いや、何度見ても凄いですね」
「一瞬で、ですね」
「餃子を百個作るなんて」
「それも一瞬で」
「いや、これもね」
王は自身の横や後ろからこう言う彼等に笑顔で述べた。
「修行でね」
「出来る様になるんですか」
「王さんみたいに」
「そうだよ、じゃあ焼き餃子もね」
「はい、焼いていきます」
「そうしますね」
「日本人の餃子はこっちなんだね」
王はこのことには少し違和感のある感じで言うのだった。
「主なのは」
「日本人の餃子は焼き餃子ですね」
「今もそっちが主流ですね」
「中国じゃ東北の一部の地域だけだけれど」
王は焼き餃子についてのことも話す。
「中に大蒜を入れるのも」
「そういえば水餃子や蒸し餃子には大蒜
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