第四十七話 運動会が終わってその四
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「強過ぎるのが」
「ですからそういうのは」
「甘いわね」
部長は目を閉じて首を横に振って述べた。
「それこそ八条製菓のアイスクリームよりもね」
「甘いですか」
「かき氷を食べて底の方にあるシロップと一つになったものみたいなね」
そうしたものだというのだ。
「甘いわね」
「そうでしょうか」
「何度も言うけれど目立たないと駄目なのよ」
「だから先代将軍でもですか」
「その娘いけるわね、いいセンスしてるわ」
将軍様の名前を出したその娘についてもだ、部長は言うのだった。
「それ位でいいのよ。それでその娘だけれど」
「あの娘ですか?」
「今部活に入ってるの?」
琴乃をその左手でぐい、と引き寄せてだ。彼女の顔を近寄せさせてそのうえで企む様な顔で囁いて問う。
「どうなの?その辺り」
「合気道部ですけれど」
「掛け持ち出来る?」
あからさまなスカウトの言葉だった。
「その辺りどうなのよ」
「それは」
「若し軽音楽部に誘えたらね」
「声をかけろっていうんですね」
「ええ、そこお願いするわね」
「わかりました、それじゃあその娘に伝えておきます」
「何なら私も出るから」
部長自ら出馬してスカウトするというのだ。
「いいわね」
「ですか」
「そうよ、部活は誘ってこそよ」
その企む感じの何処か邪悪ささえ漂わせた顔で言う部長だった。
「誰もが来たくて去りたくない様な部活にすることと一緒にね」
「スカウトもですね」
「忘れてはならないのよ、いいわね」
「わかりました」
「とにかくね、目立つことも徹底的ん」
部長はあらためて言う。
「そのことを忘れないでね」
「わかりました」
「さて、うちのクラスもね」
部長は自分のクラスの話もした。部長も学生でありちゃんと二年生のクラスに所属しているのである。
そしてそのクラスの文化祭の催しについてもだ、こう言うのだった。
「面白いのを提案しようかしら」
「面白いのですか」
「例えばメイド喫茶の上をいって」
そして言うことは。
「猫耳メイド喫茶とかね」
「猫耳ですか」
「そうよ、猫耳よ」
それを提案しようというのだ。
「尻尾も前足もつけてね」
「そこまで猫になりきるんですか」
「若しくは犬かね」
これも話に出すのだった。
「どちらにしてもね」
「ただのメイドではいかないんですね」
「人はね、猫だの犬だのにどうしても萌えるものなのよ」
理由は簡単だ、可愛いからだ。その可愛さが人類を捉えてやまないのだ。
そしてその萌えについてだ、部長は言うのだ。
「もっとよ」
「もっとですか」
「そう、目立つことにおいて頂点を目指さないと」
「ううん、何か部長のところも凄そうですね」
「勿論部活もよ」
軽音楽
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