2部分:第二章
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第二章
「そんなに偉いのかい?白い襟のシャツ着て髪型もきちんと七三分けにしてるのがよ」
俺は酒の勢いでこう言った。
「それでケース持ってネクタイ締めて。あの坂の上のマンションに住んでよ」
「それがエリートなんだろうね」
色白の奴が俯き気味に俺に答えてくれた。
「何だかんだでさ」
「エリート!?へっ」
下らない言葉だ。本気で思った。
「何だよ、そんなの全然凄かねえんだよ。どうせいい大学とか出ただけじゃねえかよ」
「まあまあ」
細目に宥められた。メンバーの中じゃお笑い系だ。
「落ち着いてさ。飲もうよ」
「ああ、悪いな」
細目に言われて落ち着きを取り戻した。そのうえでまたビールを一杯飲んだ。
「何かな、ついついな」
「そっから先は言うな」
リーダーに真顔で止められた。
「言ったら御前が惨めになるだけだぞ」
「そうか」
「そうだ。俺達は俺達だ」
その真顔で俺に言ってくれた。
「じゃあそれでいいじゃないか。そうだろ?」
「俺は今のままでいいんだ」
これは俺の偽らない本音だった。
「バイクいじってな。いい仕事だろ?」
「仕事に良し悪しなんかないだろ」
ノッポの言葉だった。チームの中じゃリーダーの次にしっかりしてる奴だ。
「そんなのよ。違うか?」
「だから。俺はそう言ってるだろ」
ノッポに言葉を返しながらまた飲んだ。食い物も適当に皆食ってる。
「どんな仕事でもよ。真面目にやってりゃよ」
「あの坂の上の世界なんて碌なものじゃねえぜ」
チビはそれがわかってるみたいだった。
「あんな所にいるよりずっとこのダウンタウンにいた方がいいさ。あそこは外見だけ奇麗でもその中身はとんでもなく汚いところさ」
「何処でも汚いさ」
俺は奇麗な世の中なんてないと思ってる。何処もかしこも汚い。人間なんて色々ある。だから完全に奇麗な世の中なんて夢の中だけだと思っている。今もだ。
「けれどよ、汚いふうに思われるのはな」
「だからさ。それ言わないでおこうよ」
チビの弟にまた言われた。
「楽しく飲んでさ」
「楽しくかよ」
「チヂミ来たよ」
色白が追加メニューを教えてきた。
「あと角煮も。来てるよ」
「あっ、いいな」
どっちも俺の大好物だった。酒もそういったのも大好きだ。
「じゃあそれもらうか」
「まだどんどん来るから」
細目はこう言ってにこにこ笑ってきてくれた。
「どんどん飲もうよ」
「そうだな、飲むのもな」
俺もそれに乗ることにした。
「まだまだ時間もあるしな」
「ああ、そうだよ」
「だから飲もうぜ」
「ああ」
仲間達の言葉に応えた。
「ビールどんどん持って来てくれ」
「よしっ」
「ほらっ」
大ジョッキがどんどん来た。飲み放題だから皆強気だ
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