第2部:学祭1日目
第6話『思慕』
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……」
「じゃあ今、マコちゃんが料理してるの?」
「まあ、そうかもしれないな」
澪はあり得ないといった表情だったが、唯の中で想像が膨らむ。
手料理作れるって話だから、きっとありかも。
「……みなさん、興味シンシンですね……」
一人梓は、無愛想に呟いた。
「ショートボブの人が平沢さんだよね。ギターを持ってる」
厨房に戻ってから世界は、ケーキにホイップをぬっている誠に尋ねた。
「そうだけど……」
「案外と大人しい子だねえ、あんまり異性にアタックできなさそうなんだけど」
「そ、そう?」
誠は世界の顔を見て、唯のことを考えも語りもしないほうがいいと思った。
「そう言えば、長い黒髪の背が高い人がいたけど」世界は澪の話をした。「きれいな人だったなあ。桂さんにちょっと似てるのは気になるけど、何か憧れる」
「あ、そう……」
誠は聞き流す。
「後の連中、なーんかなれなれしいよな」七海も厨房に戻ってきた。「特にさっきの金髪の人。急に話がしたいといわれてもなあ」
「でもまあ、それは好意を持ってるってことでしょ? 七海って結構有名人だし。あこがれの人だって多いでしょ? きっとあの…ムギって人も」
世界のフォローが入る。
「あたしはタレントじゃないんだよ。それに午後は彼氏とのデートがあるし」
「なんとかさあ、あのムギさんと話す機会設けたら?」
世界と七海のやり取りを無視して、誠は冷蔵庫で冷やしていたチーズケーキを取り出した。
「とりあえずできたよ。注文の品」
「! おいしい!!」
思わず梓は、声を上げた。
「うん、わかるわかる! 頬が落ちそうだよ」
唯もチーズケーキを食べて、梓に同感した。
「そ、そうかあ? ムギのより少し劣ると私は思うけどな」
バナナクレープのバナナを食べている律は少し不満げである。
「何言ってるんですか、こっちのほうが上ですよ! いったい誰が作っているんでしょうか」
急に梓は、目をきらめかせた。
「私のところは、高級シェフが拵えたものなんだけど……」
「いや、ムギ先輩のじゃなくて」
「そこは、私も分からないわ。きっと手料理に慣れている人なんでしょう」
「男の人かなあ」
「うわあ、是非とも彼氏にしたいぜ、そいつ!」
律は声を強めた。
「まあまあ、私の彼氏だった人も手料理うまかったからねえ」
と、さわ子。
「さわちゃん、男運いいなあ」
「でしょ? だけど、去年のクリスマスの日に別れ話を持ちかけられて……う、ううう……」
「おいおいさわちゃん、泣くなよ……」
「おーおー、よしよし、泣かないでさわ子先生……」澪はさわ子の頭をなでながら、「唯、案外ここのケーキ、うまいぞ。うちらで食うケーキ以上の」
「澪ちゃんもそう思う? やっぱりマコちゃん、料理
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