第2部:学祭1日目
第6話『思慕』
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て、学祭に隠し部屋でチェリーを卒業し、キャンプファイヤーで踊ったカップルは、永遠に別れないんだって」
「私も聞いた。となると、噂は本当のようだな……。ますますわくわくしてきたな。彼氏の作りがいがあるぜ」
律はニヤリと笑って空を見上げる。
「何言ってるんですか。これ、榊野の先生方に言ったほうがいいと思いますよ。ねえ、さわ子先生」
梓がさわ子に話を振るが、
「そうだなあ……。私は馴染んでみようかな、榊野で新しい彼氏作るのも悪くないと思うし」
と、気にもしない。
「先生―」
「おお、さわちゃんもノリがいいねえ」
仲間ができて律の頬が、一層緩んだ。
誠達、1年3組が出す喫茶店。
すでに教室には、喫茶店の準備ができていた。
輪つなぎのほか、貝殻つなぎ、四角つなぎ、『高校生パティシェの作ったお菓子 YUM-YUM』と書かれたポスターなど、さまざまな装飾がほどこされている。
厨房を隠すカーテンがしかれ、奥に携帯用のガスコンロとボンベ、家庭科に使うフライパンもある。
「おはよう……あ」
誠が厨房に入ると、すでに皆集まっていた。
世界も。
「おはよう」
世界は、穏やかに答えた。
「体……もういいのか?」
「うん。もう大丈夫。やっぱり、私は自分の思いに正直になることにするから。
誠と二人で回りたい、そう思っているし」
「そ、そうか……」
誠は後ろめたくなった。
「まあ、追いかけるのはせいぜいキノコぐらいにしてよね」
「俺はマリオか。それにキノコ追いかけても俺は1機増えないからね」
「とにかく、世界はあんたを許してくれてるんだから、感謝するんだな」
七海が背後で、にらみを利かせた。
誠はそれから眼をそらしながら、
「しかしまあ、よくこれだけのメンツがそろったな……」
世界、七海、刹那、光、泰介の顔をかわるがわる見る。
「言っとくがね、誠」泰介は半分ニヤけながら、「田中や福田もいるからよ、男子のほうが多いからな! 遠慮することはねえゼぇ」
「何を遠慮するんだよ」
「はいはい、無駄口叩いてないで、準備準備」
刹那は呆れたように声をかけ、客室に出てテーブルにクロスをかけていく。
他の皆も、ある者は準備のために花を飾り、他の者は厨房で食材の準備を始めた。
「それにしても、誠の調理法でクレープやケーキを作ると、とてもおいしいよね。びっくりしちゃった」
世界は微笑みながら言う。
「お菓子は結構作ってたからね、ガキの頃から」
「ふん、それでもうちの黒田流には劣るわよ」
光がそっぽを向いて厨房に向かう。
「おい黒田……」
「光はすねちゃっているのよ。家が洋菓子屋だからプライドもあるし」
世界がうまくフォローした。
「そうそう、桜ケ丘と榊野のヘテロカップル1号へのプ
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