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悲しきアウトサイダー
1部分:第一章
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思わず苦笑いした。この苦笑いもかなり作ったものだったにしろ。
「またそういったのかよ」
「美味いだろ?」
 リーダーは素っ気無く俺に言葉を返してきた。
「ビールもチューハイも。じゃあ御前は飲まないのかよ」
「いや」
 それはすぐに否定した。そういった酒は俺も大好きだ。
「飲むぜ。気分よくな」
「そうこなくっちゃな」
「じゃあ今から行くか」
「そうだな。戸締りしてな」
「何だかんだで金はあるからな」
「少しだけれどな」
 七人で笑いながら言い合う。会社は会社でも七人だけでやってるしがないバイクの修理工場だ。ダウンタウンのろくでなし共を相手にしている店だ。お世辞にもガラのいい店じゃない。それでも俺達はこの店で油と汗にまみれて必死にやっていた。確かに高校も碌に言っていなくてお情けで卒業させてもらったチンピラの集まりだ。それでも俺達はこの店に誇りを持っているし真面目にやっている。けれどあいつの兄貴はそんなのを見ようともしなかった。
「行くぜ」
 メンバーの中で一番背の高いのが俺に声をかけてきた。
「七人でな」
「そうだな。七人でな」
「今から行くと飲み放題だぜ」
 一番のチビが笑ってきた。こいつが一番飲む。
「安い酒をこれでもかってな」
「今日は飲むぜ」
 俺はそいつに言ってやった。そいつだけじゃなくて仲間全員に。そんなやり取りの後でその店に行った。店に入ると早速七人でテーブル囲んで派手に飲みだした。俺はその中で言った。言ってやった。
「だからよ」
「何?」
 チビの弟が俺に応えてきた。こいつも兄貴に負けず劣らず飲む。

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