第一章 平凡な日常
33、チーズケーキはお仕事の後で
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……何でオレに?」
「今日はホワイトデーですから、くれた人にはお返ししませんと」
にこりと微笑むやちる。
渡された箱を開けてみると、中身はチーズケーキだった。
「ちっチーズケー……うぐぐ、感謝だけしてやる」
それだけ言うと、要は箱を抱えたまま走り去った。
残されたやちるの嬉しそうな顔と言ったらもう。
†‡†‡†‡†‡†‡
「なんだよコノヤロー」
ぶつぶつと文句を言いながらもチーズケーキを頬張る要in教室。
何だかんだで美味しいです、まる。
見事に完食し、席を立った時だった。
「要」
「んー?」
名前を呼ばれて振り返る。
そこにいたのは山本だった。
「応接室にいなかったから探したぜ」
「ん、何か用か?」
「バレンタインの時のお返しだぜ」
小さな紙袋を渡される。
中を開けてみると……
「Σ( ̄ロ ̄lll)」
ハー○ンダッツ、チョコチップ。
「前にアイスが好きだって言ってただろ? 季節外れな気もしたんだけどよ、チーズケーキだったら雲雀あたりが渡してるかなと思ってさ」
「い、いいのか? これ、高いやつだろ?」
「気にすんなって」
冬にアイス?
最高に決まってるだろ。
By要の心
「マジで嬉しいわ。ありがとな武!」
「ああ」
ニッと笑って教室を去ろうとする山本。
しかし、なにかを思い出したように立ち止まり、振り返った。
「今度ウチの寿司でも食いに来いよな」
「ああ、そのうち必ずな」
「待ってるぜ」
そして山本はアイスにテンションが上がる要を残して教室を去ったのだった。
コスモのことを思い出した要が慌てて教室を飛び出すのは、それから数分後のことである。
†‡†‡†‡†‡†‡
「あ、要。ちょうどよかった」
学校を出たとき、ばったり入江と会った。
その手には、皆と同じように小さい箱が握られていた。
「これ、バレンタインのお返しなんだけど、要の好きなものがなかなか思い付かなくて……」
そう言いつつ、入江は箱の中身を取り出した。
「ごめん、もっとちゃんとしたヤツならよかったんだけど」
それは、ミサンガだった。
黒、白、緑の三色で彩られたそれは、ところどころ解れたりしていた。
「もしかして、手作り?」
「下手くそでごめん!」
「いやいや! こんなの作れるってだけで上等だって!」
「ほ、本当……?」
「ああ!」
とたんに入江の顔が、ぱあっと明るくなった。
よほど自信がなかったのだろう。
要の言葉で一気に元気を取り戻した。
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